健康診断や人間ドックを受ける際に飲むバリウム。

飲んだバリウムは便と一緒に排出されますが、便に含まれるバリウムが原因となってトイレを詰まらせてしまうこともあるので注意しなくてはいけません。

この記事では、バリウムでトイレが詰まる原因と対処法を紹介していきます。

詰まったときの対処法はもちろん、詰まらせないための予防法についても紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。

バリウムを飲んだ後に便がトイレに詰まるのはなぜ?

バリウムを飲んだ後にトイレが詰まりやすくなるのは、便にバリウムの成分が含まれるためですが、便にバリウムの成分が含まれるとなぜ詰まりやすくなるのでしょうか?

その主な理由としては以下の3点があげられます。

  • 便が固まりやすくなる
  • 粘着性があり便器に付着するため
  • 節水型のトイレで水量が少なく水の勢いが弱い

それぞれの理由について詳しく解説していきます。

便が固まりやすくなる

バリウム検査のときに飲むことになるバリウムには粘着剤が含まれています。

バリウム検査の後は、摂取した食べ物とこの粘着剤などの成分があわさって便として排出されるため、どうしても便が固まりやすくなりますし、硬くなります。

固まることでサイズが大きくなった便や固くなった便は水に溶けづらく、形を保ったまま流されていくため、トイレの内部や排水管で引っかかったり堆積したりして、詰まりの原因となるのです。

粘着性があり便器に付着するため

バリウムには粘着剤が含まれているため、便の粘度も強くなります。

便の粘度が強くなるとトイレの内部や排水管の壁に付着しやすくなりますが、この付着した便が詰まりの原因になることもあるため注意が必要です。

付着した便によってトイレの内部や排水管が狭くなると、汚物やトイレットペーパーが詰まりやすくなりますし、付着した便を取り除かないと常態的な詰まりに発展してしまうでしょう。

節水型トイレの場合は水量の少なさが影響する

バリウムを飲むと便の粘度が強くなったり硬くなったりしますが、水量と水の勢いが十分な通常のトイレであればそう簡単に詰まることはありません。

ただ、節水型のトイレを使用している場合は注意が必要です。

節水型のトイレは水の量が少なく勢いも弱いため、便を流し切ることができず、通常のトイレでは詰まらないような便でも詰まってしまうことがあります。

バリウムを含む便がトイレに詰まったら放置するのはNG

バリウムを飲んだ後に排出した便が原因でトイレが詰まってしまった場合、放置するのはNGです。

通常の便による詰まりであれば1〜2時間放置することで水に溶けて詰まりが解消されることもありますが、バリウムを飲んだ後に排出される便は粘度が強く、硬いため、水に溶けづらくなっています。そのため、放置している間に詰まりが解消することはありません。

また、放置することで便がよりしっかりと付着したり堆積して水の流れを悪くするなど、事態が悪化する可能性もあります。

バリウムを飲んだ後の便によるトイレの詰まりは、放置せずになるべく早く対処することが重要ですので、このあと紹介する対処法を参考にしながら、しっかりと対応していきましょう。

バリウムを含む便でトイレが詰まった時の対処法

実際にバリウムを含む便の影響でトイレが詰まった場合、以下の方法で対処できます。

  • お湯を使って流す
  • トイレブラシでこすり取る
  • 割り箸でバリウムを取り除く
  • 酸性洗剤を使って溶かす

それぞれの対処法について詳しく解説していきます。

お湯を使って流す

バリウムが含まれる便は通常の温度の水だと溶けるのに時間がかかり、詰まりを解消することができないので、お湯を使って対応するようにしましょう。

通常の水よりも水温が高いお湯を流し入れることで、便が溶け、詰まりが解消されることがあります。

やり方は簡単で、40〜60度のお湯を用意して便器にゆっくり流し入れるだけです。

バリウムが溶け出すと水がにごるので、にごりが消えるまで3〜5回程度流し入れましょう。

お湯の温度が高すぎると便器が割れてしまうので、60度以上のお湯は使用しないようにしてください。

トイレブラシでこすり取る

付着した便の量が少なく、目視できる場合であればトイレブラシでも対応できます。

トイレブラシを使い、見える範囲のバリウムを便器から剥がすようにして取り除きましょう。

バリウムを含む便は粘度が強いので綺麗に剥がそうとすると時間はかかりますが、量が少ない場合はこの方法で対応するのが一番です。

ただし、付着しているバリウムの量が多いとトイレの詰まりを悪化させたり、便が付着する範囲を広げてしまったりする可能性があるので、バリウムの量が多いときにはこの方法での対処は避けるようにしてください。

割り箸でバリウムを取り除く

便器に付着している便の量が多い場合は、ブラシではなく割り箸で対応するようにしましょう。

便器に付着した便を割り箸でつまみ、剥がすようにして取り除いていきます。

そのままトイレに流すと再度付着する可能性があるので、トイレットペーパーでくるんでから流すようにしましょう。

また割り箸で便器をこすると傷つく可能性があるので、こすらずつまんで剥がすようにしてください。

もし自宅にゴム手袋がある場合は、ゴム手袋での対応もおすすめです。

酸性洗剤を使って溶かす

便器に強くこびりついている場合や、奥に付着して届かないなどブラシや割り箸で対処するのが難しいときは、酸性の洗剤を使って溶かしましょう。

酸性の洗剤は洗浄力が高く、バリウムを含む便であっても溶かして流れやすくすることができます。

酸性洗剤を用意したら、便に少しずつかけていきます。

便に洗剤をかける際は、一度に大量にかけるのではなく少しずつかけるのを何度か繰り返して対応するようにしてください。

トイレのバリウムを取り除く時の注意点

先ほど紹介した対処法でバリウムやバリウムの含まれる便を取り除く場合、便器を傷つけないよう注意しながら作業するようにしてください。

便器は陶器製の頑丈にできていますが、以下のような対応をすると破損や劣化の原因となります。

  • 60度以上の熱いお湯を流し込む
  • 金属製のたわしなどで強くこする
  • 棒などを便器の奥まで無理矢理入れる

便器にお湯を入れる方法で対処する場合は、水温が高すぎると便器が割れる可能性があるので、60度以上のお湯を使用しないようにしてください。

また、金属製のたわしなど硬いもので力を入れて強くこすると、便器が傷つき劣化してしまいます。

排水口の奥に棒などを入れて詰まりを解消しようとする方法もNGです。

排水口の奥が傷ついたり破損すると余計に詰まりが発生しやすくなりますし、水漏れなどの原因にもなります。

便器を交換しなくてはならなくなるような事態も想定されるので、無理な対応は避けるようにしましょう。

酸性洗剤を使用する場合は、他の洗剤と混ぜると有毒ガスが発生して大変危険なので、使用方法を確認した上で使用するようにしてください。

トイレの詰まりが解決できないときはトイレ修理業者に依頼する

紹介した方法を実践してもトイレの詰まりが解消されない場合は、放置したり無理に自分で対処したりしようとせず、業者に依頼して修理してもらうようにしましょう。

紹介してきたとおり、トイレの詰まりを放置することはおすすめできませんし、無理に自分で対処しようとすると便器を破損させるなどして、事態を悪化させてしまう可能性があるためやはりおすすめできません。

トイレの詰まりは原因の特定が難しく、原因によって対処方法も異なるため、豊富な知識と実績があり、正しい対処方法で対応できる専門業者に依頼するのが一番です。

また、便器の奥やさらにその先にある排水管にバリウムが含まれる便が付着したり堆積していたりする場合、完全に除去できたかどうかを自分で確認するのは不可能なので、不安に感じるのであれば専門家に見てもらうようにしましょう。

バリウムでトイレを詰まらせないためのポイント

健康診断などでバリウムを飲んだときにトイレを詰まらせないためのポイントとしては、以下の3点があげられます。

  • 水を多めに飲む
  • 水を出しながら用を足す
  • トイレットペーパーを利用する

それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。

水を多めに飲む

バリウムを飲むと便秘になりやすく、排出される便も硬くなります。

便が硬いとトイレで詰まる可能性も高くなるので、バリウムを飲んだ後は水を多めに摂取して便が固くなるのを防ぐことが重要です。

バリウムによって便が硬くなりすぎるのを防ぎたいのであれば、以下の方法を実践しましょう。

  • バリウム検査の直後にコップ2〜3杯分の水を飲む
  • その後、1時間おきに100cc程度の水を飲む

こうすることで、便秘と便が硬くなるのを防げるようになります。

水を出しながら用を足す

バリウムが含まれる便は粘度が強くてトイレの内部や排水管に付着しやすいという特徴があります。

便が付着して堆積すると詰まりが発生しやすくなるので、バリウムを飲んだ後のトイレの詰まりを防ぐには、いかにして便を付着させないようにするかが重要です。

少し手間のかかる方法ではありますが、バリウムを飲んだ後に用を足すときは水を流しながらおこなうようにしましょう。

水を流しながら排泄することで、便が付着する前に流しきれるようになるので、詰まりが発生しづらくなります。

ずっと水を流しつづけるわけにはいかないので、便が出る少し前に水を流し始めるようにしましょう。

トイレットペーパーを利用する

水を出しながら用を足す方法は効果的な方法ではありますが、水を流すタイミングが難しいという欠点があります。

タイミングを図るのが難しいのであれば、用を足す前に便器にトイレットペーパーを敷き、バリウムを含む便が便器に付着しないようにしましょう。

いくら粘度が強く流れにくい便であっても、便器に付着させなければ問題なく流れていきます。

少し抵抗を感じるかもしれませんが、排泄後の便からトイレットペーパーをかぶせ、挟み込んだ状態で流すようにすると、より効果が高まります。

病院や職場のトイレを利用するときは特に注意しよう

実際にバリウムを含む便の影響でトイレが詰まってしまったとしても、自宅のトイレであれば時間をかけて対処できますし、落ち着いて対応できます。

一方、病院や職場のトイレだと「人に見られたくない…!」という心理が働くため落ち着いて対処することができません。

そのため、バリウムを飲んだ直後に病院のトイレを使用するときや翌日以降に職場でトイレを使用するときは特に注意する必要があります。

まとめ

健康診断や人間ドックなどでバリウムを飲んだ後に排出される便は、粘度が強く、硬くなりやすいという特徴があり、トイレの詰まりを引き起こしがちです。

そのため、バリウムが排出されるまでの間は、以下の方法を実践してトイレが詰まらないようにしなくてはいけません。

  • 水を多めに飲む
  • 水を出しながら用を足す
  • トイレットペーパーを敷いて用を足す

ただ、それでも詰まってしまうことはあります。

実際に詰まってしまった場合は、決して放置せず、以下の方法で対処するようにしましょう。

  • お湯を使って流す
  • トイレブラシでこすり取る
  • 割り箸でバリウムを取り除く
  • 酸性洗剤を使って溶かす

これらの方法を試しても詰まりが解消されない場合は、トイレの修理業者に依頼して対応してもらうようにしてください。

以下の記事では、その他の主なトイレつまりの原因についてまとめていますので、困ったときはぜひ参考にしていただけますと幸いです。

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