近年、気候変動の影響により、日本各地で大雨や台風による被害が増加しています。
こうした自然災害は、私たちの日常生活に様々な影響を及ぼしますが、その中でも見過ごせないのがトイレの問題です。
大雨や台風によってトイレが流れなくなると、衛生面での不安だけでなく、日常生活に大きな支障をきたします。
本記事では、トイレが流れなくなる原因や対処法、さらには事前の対策まで詳しく解説していきます。
目次
大雨や台風などでトイレが流れなくなる原因
大雨や台風によってトイレが流れなくなる主な原因は以下の通りです。
・排水できる水量を超えてしまうこと
これらの原因について、詳しく説明していきましょう。
排水できる水量を超えてしまうから
大雨や台風時にトイレが流れなくなる最も一般的な原因は、排水システムが処理できる水量を超えてしまうことです。
通常、下水道や浄化槽は一定量の水を処理するよう設計されていますが、激しい雨が降り続くと、その処理能力を超える水量が流れ込んでしまいます。
その結果、排水管や浄化槽が満杯になり、新たな水を受け入れられなくなるのです。この状態では、トイレの水を流しても排水できず、最悪の場合、汚水が逆流する危険性もあります。
大雨でトイレが流れない時の対処法
大雨の日に下水管の許容水量が超えてしまい、マンホールから水が溢れているのを見かけたことがある方もいるでしょう。
雨が上がって下水管に流れる水の量が平常時に戻れば、再びトイレが使用できるようになります。
しかし、大雨の日にトイレが使用できないととても不便に感じることでしょう。
そこで、ここでは大雨でトイレが流れない時の対処法をご紹介します。
大雨や豪雨でトイレが流れないときの対処法
トイレが流れなくなった場合、以下のような対処法があります。状況に応じて適切な方法を選択しましょう。
- ゴミ袋と新聞紙で簡易トイレを作る
- 市販の非常用トイレを使う
- 水位が下がるまで待つ
- ラバーカップ(すっぽん)を使ってみる
- トイレ修理業者に依頼する
それぞれの対処法について詳しく見ていきましょう。
ゴミ袋と新聞紙で簡易トイレを作る
緊急時の対応として、身近な材料で簡易トイレを作ることができます。
必要なものは大きめのゴミ袋と新聞紙だけです。
まず、ゴミ袋を二重にしてトイレの便座にかぶせます。次に、新聞紙を丸めてゴミ袋の中に入れます。
これで簡易トイレの完成です。使用後は、消臭効果のある猫砂や重曹をかけると臭いを抑えられます。ゴミ袋は使用後にしっかりと密閉し、衛生面に十分注意して処分しましょう。この方法は一時的な対応ですが、緊急時には非常に役立ちます。
市販の非常用トイレを使う
事前に準備しておくのが望ましいですが、市販の非常用トイレを使用するのも効果的な対処法です。
これらは凝固剤や消臭剤が含まれており、衛生的に処理できます。
使い方は製品によって異なりますが、一般的にはトイレの便器に専用の袋をセットし、使用後に凝固剤を入れて密閉します。多くの製品は複数回使用できるため、長期の災害時にも対応できます。購入する際は、家族の人数や想定される使用日数を考慮して、十分な数を備蓄しておくことをおすすめします。
水位が下がるまで待つ
トイレが流れない状況が一時的なものであれば、水位が下がるまで待つのも一つの選択肢です。
大雨や台風が過ぎ去れば、通常は数時間から1日程度で水位が下がり、トイレの機能が回復することがあります。ただし、この方法を選択する場合は、衛生面に十分注意する必要があります。トイレを使用せずに済むよう、飲食を控えめにすることも検討しましょう。
また、水位が下がっても、すぐに大量の水を流すのは避け、少量の水で慎重に流せるか確認してから通常の使用に戻るのが賢明です。
ラバーカップ(すっぽん)を使ってみる
トイレの詰まりが軽度の場合、ラバーカップ(すっぽん)を使用して解消できることがあります。
ラバーカップは、トイレの排水口に密着させて上下に動かすことで、水圧を利用して詰まりを解消する道具です。
使用する際は、まず便器に水を半分ほど入れ、ラバーカップを排水口にしっかりと密着させます。次に、強く押し引きを繰り返します。
この作業を数回行っても効果がない場合は、無理に続けず他の方法を試すか、専門家に相談することをおすすめします。
トイレ修理業者に依頼する
自己対処では解決できない場合や、トイレの故障が疑われる場合は、専門のトイレ修理業者に依頼することをおすすめします。
業者は専門的な知識と道具を持っており、問題の根本的な解決が期待できます。ただし、大雨や台風の直後は多くの依頼が集中するため、すぐに対応してもらえない可能性があります。
そのため、緊急時の連絡先をあらかじめ確認しておくことや、複数の業者の連絡先を把握しておくことが重要です。費用面でも事前に相場を調べておくと、不測の事態に備えられます。
大雨で浄化槽が浸水したときの対処法
トイレが流れなくなった状態を放置すると、深刻な問題につながる可能性があります。特に注意すべき点は以下の通りです。
- 雨が長引けば汚水が逆流してくる可能性がある
この問題について、詳しく説明していきます。
雨が長引けば汚水が逆流してくる可能性がある
トイレが流れない状態を放置し、さらに雨が長引くと、最悪の場合、汚水が逆流してくる危険性があります。
これは、排水管や下水道が水で満杯になり、新たな水を受け入れられなくなるためです。汚水の逆流は、深刻な衛生問題を引き起こす可能性があります。
悪臭や細菌の繁殖だけでなく、床や壁の損傷、さらには健康被害のリスクも高まります。また、一度汚水が逆流すると、清掃や修理に多大な時間と費用がかかる可能性があるため、早めの対策が非常に重要です。
大雨でトイレから汚水を逆流させないための対策
汚水の逆流を防ぐため、以下のような対策を講じることができます。
- 敷地内の汚水マスのふたを開ける
- 水のうで排水溝をふさぐ
これらの対策について、詳しく説明していきましょう。
敷地内の汚水マスのふたを開ける
大雨時に汚水の逆流を防ぐ効果的な方法の一つは、敷地内にある汚水マスのふたを開けることです。
汚水マスは通常、地面に埋め込まれており、下水管の途中に設置されています。ふたを開けることで、過剰な水圧を逃がし、汚水の逆流リスクを軽減できます。
ただし、この作業を行う際は安全に十分注意してください。また、開けたふたの周りに目印を立てるなどして、誤ってつまずいたり落ちたりしないよう対策を講じることも重要です。雨が収まったら、忘れずにふたを閉めましょう。
水のうで排水溝をふさぐ
外部からの雨水の流入を防ぐ効果的な方法として、水のうを使用して排水溝をふさぐ方法があります。水のうとは、水を入れて使用する土のうの代替品で、軽量で扱いやすいのが特徴です。
これを排水溝の上に置くことで、雨水の流入を抑制し、汚水の逆流リスクを軽減できます。使用する際は、水のうが排水溝全体を覆うよう配置することが重要です。
また、複数の水のうを重ねて使用すると、より高い効果が期待できます。ただし、完全に水を止められるわけではないので、他の対策と併用するのが望ましいでしょう。
大雨でトイレが流れなくなる前にやっておきたいこと
大雨による問題に備えて、事前に以下のような対策を講じておくことをおすすめします。
- 汚水マスをふたを圧力開放型に交換する
- 災害用の簡易トイレを用意しておく
- 近隣の施設を調べて把握しておく
これらの対策について、詳しく見ていきましょう。
汚水マスをふたを圧力開放型に交換する
汚水の逆流を防ぐ効果的な対策として、汚水マスのふたを圧力開放型に交換することをおすすめします。
通常の汚水マスのふたは密閉型ですが、圧力開放型は一定以上の圧力がかかると自動的に開く構造になっています。これにより、大雨時に下水管内の圧力が高まっても、自動的に圧力を逃がすことができ、汚水の逆流リスクを大幅に軽減できます。
ただし、専門的な知識が必要なため、交換作業は専門業者に依頼することをおすすめします。費用はかかりますが、長期的な安心につながる投資といえるでしょう。
災害用の簡易トイレを用意しておく
大雨や災害に備えて、家庭用の災害用簡易トイレを準備しておくことが重要です。
市販の災害用トイレには様々な種類があり、凝固剤タイプ、ラップ式、組み立て式などがあります。家族の人数や住居の状況に応じて、適切なタイプと数量を選びましょう。
また、トイレットペーパーや消臭剤なども一緒に備蓄しておくと便利です。定期的に使用期限や保管状態を確認し、必要に応じて新しいものと交換することも忘れずに。これらの準備は、いざという時の心の余裕にもつながります。
近隣の施設を調べて把握しておく
自宅のトイレが使用できなくなった場合に備えて、近隣の公共施設やトイレが使用可能な場所を事前に調べ、把握しておくことが重要です。
具体的には、避難所、公民館、図書館などの公共施設や、24時間営業のコンビニエンスストア、ガソリンスタンドなどが候補として挙げられます。
これらの場所の位置や営業時間、災害時の開放状況などを確認し、家族全員で共有しておきましょう。また、可能であれば複数の選択肢を用意することで、より安心できます。緊急時にあわてないよう、日頃から意識しておくことが大切です。
まとめ
大雨や台風によるトイレの問題は、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。事前の準備と適切な対処が重要です。
簡易トイレの準備や排水システムの改善、近隣施設の把握など、できることから始めましょう。また、緊急時には慌てず、状況に応じた対応を心がけることが大切です。
トイレの問題は衛生面だけでなく、精神的なストレスにもつながります。日頃から家族で話し合い、対策を立てておくことで、いざという時の不安を軽減できるでしょう。防災意識を高め、安心して生活できる環境づくりを心がけましょう。
まとめ
大雨の日は下水管の許容流量をオーバーして、下水が使用できなくなります。
また、下水管の水の許容量を超えてしまうと汚水が逆流する恐れがあるため注意してください。
いざというときに困らないように、簡易トイレを作成する方法や汚水の逆流を止める方法を覚えておきましょう。
もし、雨が止んだにも関わらずトイレの水が流れない場合は、トイレの故障または排水管トラブルである可能性が高いです。
そのため、天気が回復してもトイレが使用できない場合は一度「トイレつまりの救急センター」までご相談ください。
以下の記事では、その他の主なトイレつまりの原因についてまとめていますので、困ったときはぜひ参考にしてみてください。