トイレの修理にともなう高額請求トラブルが急増している昨今。

そういったトラブルに巻き込まれないことが一番ではありますが、いつ巻き込まれるかわからないことを考えると、巻き込まれたときの対処法についても把握しておくべきだと言えます。

そこで押さえておきたいのが、クーリングオフの制度です。

この記事では、高額請求などのトラブルに対する有効な対処法の一つであるクーリングオフ制度について紹介していきます。

クーリングオフが利用できないケースや失敗しない修理業者の見分け方なども紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。

トイレつまりで高額請求されたらクーリングオフできる?

クーリングオフは一定期間内であれば契約を解除できるという制度で、商品やサービスだけでなくトイレの修理などの水道工事にも適用されます。

トイレのつまりの修理を依頼したにも関わらず、不要な作業をされてしまったときやあまりにも高額な請求を受けた場合などには、クーリングオフの制度を活用して契約を解除し、返金してもらうことが可能です。

ただし、クーリングオフには期間が定められており、契約してから8日以内に契約の解除を申し出るようにしなくてはいけません。

トイレつまりで高額請求されたときの対処法

トイレの修理で業者から高額請求されたときは、以下の方法で対処するようにしましょう。

  • 後日支払うと伝えその場の支払いは拒否する
  • 消費生活センターへ相談する
  • 身の危険を感じたら警察に連絡する

それぞれの対処法について詳しく解説していきます。

後日支払うと伝えその場の支払いは拒否する

高額請求してくる業者は作業完了後に支払いを要求してくるため、つい支払ってしまいがちです。

ただ、作業してもらったからと言って必ずしも提示された金額を支払わなければならないわけではありません。

支払う意思を見せれば、その場での支払いを避け、後日支払うこともできます。

そのため、請求された金額が高すぎると感じる場合は、その場で支払わず、「提示された金額が納得できる金額ではないこと」や「消費生活センターや弁護士に相談し、金額について相談した上で後日支払うこと」を告げ、帰ってもらいましょう。

支払う意思があることを告げておかないと逆にこちらが訴えられてしまう可能性があるので、支払う意思がある旨はしっかりと伝えるようにしてください。

消費生活センターへ相談する

金額に納得できないことや後日しっかりと支払う意思があることを告げて業者に帰ってもらったら、消費生活センターに連絡しましょう。

消費生活センターは、商品やサービスに関する苦情や問い合わせなど、さまざまな相談に乗ってくれる独立行政法人です。

トイレなど水まわりの修理にともなう高額請求トラブルの相談にも対応しており、業者との交渉のサポートや弁護士の紹介などをおこなってくれます。

修理費用を支払ってしまったときの相談も可能で、クーリングオフの活用に関するアドバイスもしてもらえます。

身の危険を感じたら警察に連絡する

トイレの修理業者の中には、「後日支払う」というこちらの主張を素直に聞き入れてくれない業者もいるため注意が必要です。

後日の支払いになることに対して文句を言ってくるくらいであればまだマシで、中には激昂して支払いを迫るような業者もいます。

紹介してきたとおり納得できない金額の修理費用を支払う義務はなく、後日支払うことを伝えればその場での支払いを避けることも可能ですが、そのことを伝えても引き下がらずに脅迫してくる業者もいるわけです。

その場合は万が一の事態も考慮し、無理に自分で処理しようとせず、警察に連絡して間に入ってもらうようにしましょう。

クーリングオフできないトイレ修理工事

消費者にとって非常にありがたい制度であるクーリングオフですが、すべてのケースに適用できるわけではありません。

以下のようなケースの場合はクーリングオフを適用するのが難しくなります。

  • 修理が問題なく行われた
  • 内容に合意して契約書を取り交わした
  • 法定書面を受け取っていない
  • 修理業者と連絡が取れない

それぞれのケースの概要となぜクーリングオフを適用できないのかについて解説していきます。

修理が問題なく行われた

こちらからトイレのつまりの修理を業者に依頼し、つまりの修理が問題なく完了して正当だと思われる金額を請求された場合はクーリングオフの制度を利用することはできません。

例えば、トイレのつまりの修理に必要ない高圧洗浄などの作業を勝手に追加されたり、あまりにも高額な費用を請求された場合であればクーリングオフを利用することはできます。

ただ、こちらがお願いした作業を正当な金額で対応してもらった場合は業者に落ち度はありませんので、クーリングオフの適用外となります。

クーリングオフはどういった契約にでも適用できるわけではありませんし、「制度を利用して修理代金を支払わない」「制度を悪用して金額を値切る」などの行為はできないので注意してください。

内容に合意して契約書を取り交わした

一般的なトイレなど水まわりの修理業者は、作業を開始する前に見積書を作成し、その見積書を元に作業内容や料金の説明をおこないます。

その後、契約書を作成して依頼者からサインをもらった上で作業に入るわけですが、契約書を交わした場合もクーリングオフの制度は利用できません。

作業が正しくおこなわれていなかったり契約時の金額とは異なる金額を請求された場合は例外ですが、作業内容や料金に問題がないのであれば、作業に対する対価としてしっかりと費用を支払わなくてはいけません。

修理の内容や金額を説明してもらった上で契約書にサインするということは、その内容や金額に納得した上で契約を取り交わすということです。そのため契約を一方的に解除することはできません。

法定書面を受け取っていない

トイレのつまりを業者に修理してもらう場合は契約を交わして作業に入ってもらうのが一般的で、契約時には契約書にサインし、控えを受け取ります。

ただ、中には契約を交わさずに作業を始める業者もいるため注意しなくてはいけません。

なぜなら、契約書などの法定書面がないと契約を交わしたことを証明する手段がなくなってしまうからです。

法定書面がないと、その契約の存在や内容を証明することができません。

実際に交わされたかどうかを確認することができない契約は解除することもできないので、クーリングオフの対象外となります。

修理業者と連絡が取れない

修理業者と連絡が取れない場合もクーリングオフを適用することができないため、返金は難しくなります。

クーリングオフを適用するには、業者との話し合いをおこない、作業の内容や金額が適切でなかったことを認めてもらわなくてはいけません。

ただ、連絡が取れないと、話し合うことができず交渉もできないため、クーリングオフを利用して契約を解除することができないのです。

また、連絡が取れる場合であっても、「提示した費用は相場の範囲内」「つまりを解消するには今回の作業が必要だった」などと主張されたり話し合いに応じてもらえなかったりするとクーリングオフを適用するのは難しくなります。

トイレ修理で高額請求されたトラブル事例

近年トイレの修理で高額を請求されるトラブルが急増していると紹介してきましたが、実際にどういった事例が報告されているのでしょうか?

2つのトラブル事例を紹介していきます。

さまざまな追加作業が発生して55万円の修理費用を請求された事例

1つ目の事例は、55万円もの修理費用を請求された事例です。

夜中に自宅マンションのトイレがつまったため、インターネット広告で見かけた業者に修理を依頼した相談者。

広告には「390円から」と書かれていましたが、便器の脱着や汚れを落とすための通貫作業、薬剤での再発防止の作業など追加作業が発生し、最終的に55万円もの費用を請求されることになりました。

参考:国民生活センター「水回り修理「950円~」のはずが…数十万円の高額請求に!-水回り修理、解錠、害虫駆除などの緊急対応で事業者とトラブルにならないためには?-

便器の交換を促されて20万円もの修理費用を請求された事例

2つ目の事例は、20万円の修理費用を請求された事例です。

トイレがつまったため電話帳に載っていた業者に修理を依頼した相談者。

修理してもらったものの、直らないとのことで新しい便器に交換することに。

その後、便器代を含め20万円の修理費用を請求されました。

参考:千葉県 公式サイト「トイレ修理で思わぬ高額請求に!

高額請求のトラブルに巻き込まれてしまう理由

紹介してきたとおり水まわりの修理にともなう高額請求のトラブルはここ数年で急増しており、ニュースやSNSなどでも度々取り上げられています。

消費生活センターも積極的に情報を発信して相談が増えていることを知らせたり注意喚起したりしていますが、それでも多くの方が高額請求のトラブルに巻き込まれてしまう理由としては、以下の3点があげられます。

  • 焦ってしまい冷静に判断できない
  • 「今修理しないと大変なことになる」などと煽られて不安になる
  • 作業完了後に請求されるため断りづらい

トイレは日々の生活に欠かせない住宅設備なので、使えないと生活が一気に不便になります。

トイレを借りられる場所が近所で見つからないケースも少なくありませんし、トイレのトラブルに慣れていない方も多いため、焦って冷静に判断できなくなり、高額な料金でも支払ってしまう可能性が高くなるわけです。

また、高額請求してくる悪徳業者は、「今修理しないと大変なことになる」などと必要以上に不安を煽り、契約を迫るため、多少金額が高いと感じたり不審に思ったりしても契約してしまう傾向があるようです。

作業完了後に請求される点もトラブルに巻き込まれてしまう理由の一つで、「高い」「おかしい」と感じてはいるものの、作業が完了してしまっているため「支払わなければいけない」と感じ、支払ってしまうケースが多くなっています。

以下の記事には高額請求のトラブルに巻き込まれないようにするための対処法がまとめられているので、こちらも参考にしてみてください。

関連記事:トイレつまりで高額請求?具体的事例と支払いを回避・返金してもらう方法

高額請求をする悪質な修理業者の特徴

トイレの修理にともなう高額請求を避けるためには、高額請求する悪質業者に修理を依頼しないことが大切です。

そこで把握しておきたいのが、高額請求するような悪質な修理業者の見極め方について。

悪質な修理業者の特徴としては、以下の3点があげられます。

  • 格安料金を売り文句にしている
  • 見積書を作成しない
  • 会社情報が不明確

それぞれ詳しく解説していきます。

格安料金を売り文句にしている

ホームページやインターネット広告、チラシなどに「地域最安値」と記載されていたり相場よりもはるかに安い金額が掲載されている業者は悪徳業者である可能性が高いので注意が必要です。

高額請求をするような悪徳業者は、格安をうたい文句に集客をおこなっています。

ただ、実際にその金額で作業するようなことはなく、なにかと理由をつけて追加工事をおこなったりオプション費用などの名目で料金をプラスしていき、最終的に数十万円規模の高額料金を提示してきます。

トイレの修理は基本料金だけでも2,000〜3,000円ほどになることがほとんどで、作業内容によっては数万円になることもあります。

数百円では人件費にもならないため、その料金で対応できることはほぼないと考えて良いでしょう。あまりにも低い金額を全面に打ち出している業者の利用は控えてください。

見積書を作成しない

高額請求をおこなわない一般的な修理業者は、作業をおこなう前に現場の状況を確認し、見積書を作成します。

その見積書を元に作業の内容や金額について説明し、依頼者に納得してもらった上で作業に入りますが、高額請求をおこなう悪徳業者はこれらの工程を飛ばしていきなり作業し始めます。

見積書を作成することはありませんし、作業内容や金額の詳細な説明もおこないません。

口頭で「〇〇円になります」と伝え、いきなり作業し始めます。

そして、作業後にいきなり高額を請求してくるわけです。

見積書がない場合、業者から提示された金額を証明することができません。

また、契約書がない場合はクーリングオフすることもできません。

そのため、見積書や契約書などの書類の発行や説明をおこなわない業者には修理を依頼しないことが重要になります。

会社情報が不明確

悪質な修理業者かどうかは、その会社のホームページやポストに投函されたチラシを見て判断することもできます。

丁寧に対応してくれる優良な業者は、ホームページやチラシに会社名や所在地、電話番号などの連絡先をしっかりと明記しています。

ホームページやチラシは会社の顔になるため、これらの情報を明記するのは当然と言えば当然です。

ただ、高額請求するような悪質な業者のホームページやチラシにはこれらの情報が明記されていない傾向があります。

所在地や連絡先などの情報が記載されていないとクーリングオフをしようとしても連絡することができず泣き寝入りするしかなくなってしまうため、会社の情報がしっかりと記載されているかどうかは必ず確認しておくようにしなくてはいけません。

トイレつまりの修理業者を選ぶポイント

トイレのつまりを適切に修理してもらうには、悪質業者への依頼を避けるのはもちろん、優良な業者に依頼することも重要になってきます。

優良な修理業者を選ぶときに意識するべきポイントは以下の3点です。

  • 水道局指定工事業者から選ぶ
  • 料金体系を確認する
  • 実績・口コミを確認する

それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。

水道局指定工事業者から選ぶ

トイレの修理を依頼する業者を選ぶ際は「水道局指定工事事業者」の中から選ぶようにしましょう。

水道局指定工事事業者は、各自治体に水道工事を適切におこなえると認められた業者です。

いわば自治体お墨付きの優良業者だと言えます。

高額請求してくるような悪徳業者は、技術力や知識が乏しかったり評判が悪かったりするので、水道局指定工事事業者として認定されていないケースがほとんどです。

そのため、水道局指定工事事業者に認定されている業者の中から選ぶようにすることで、自然と悪徳業者への依頼を避けられるようになります。

料金体系を確認する

悪徳業者への依頼を避けて優良業者にトイレを修理してもらうには料金体系のチェックが必要不可欠です。

誠実な業者は会社のホームページやチラシにしっかりと料金体系を明記しています。

基本料や作業費、出張費など、発生する費用やその金額についてもしっかりと明記しているので安心して依頼できます。

一方、高額請求をおこなう悪徳な修理業者は料金を明記していなかったり、「トイレ修理1万円ポッキリ」など曖昧な表現で濁していることが多い傾向があるので、そういった業者は避けるようにしましょう。

実績・口コミを確認する

トイレの修理業者を選ぶ上で参考になるのが実績や口コミです。

トレイの修理に関する実績が豊富な業者やユーザーからの口コミによる評価が高い業者の方が、安心して修理を任せられます。

業者のホームページには良い口コミしか掲載されていないこともあるので、口コミサイトやGoogle Maps、SNSなどに投稿されている口コミの内容をチェックして参考にするようにしましょう。

また、実績についても誇張されている可能性があるので、写真つきの事例紹介が掲載されているかなど、信憑性の高いものを中心にチェックするようにしてください。

まとめ

トイレの修理業者に高額請求されて支払ってしまったときは、クーリングオフを適用できないか確認することが大切です。

クーリングオフで修理費用を返金してもらえるのであれば、遠慮せずに制度を活用して返金してもらうようにしましょう。

ただ、紹介してきたとおりクーリングオフが適用されないケースもあるので注意しなくてはいけません。

高額請求のトラブルを避けるには高額請求されたときの対処法を把握しておくことが重要になりますし、何より高額請求してくるような悪質な業者に修理を依頼しないことが重要になってくるので、今回紹介した内容をしっかりと押さえておくようにしましょう。