トイレの詰まりは日常生活で突然直面する厄介な問題です。通常のラバーカップや薬品での対処では解決できない深刻な詰まりの場合、便器を取り外す必要が出てくることがあります。この記事では、便器の取り外しが必要となる状況や、業者に依頼した場合の料金相場、さらには自分で便器を取り外して詰まりを解消する方法について詳しく解説します。トイレのトラブルに対する知識を深め、適切な対処法を身につけましょう。

便器を外す対応が必要になるのはどんなとき?

便器を外す必要が生じる状況は、主に次の2つです。

  • ・大量のトイレットペーパーや排泄物による詰まり
  • ・固形物などの水に溶けないものによる詰まり

これらの状況では、通常の詰まり解消法では対処が困難です。便器を取り外すことで、詰まりの原因を直接確認し、適切な処置を行うことができます。それぞれの状況について、詳しく見ていきましょう。

大量のトイレットペーパーや排泄物を流して詰まったとき

トイレに大量のトイレットペーパーや排泄物が詰まった場合、深刻な詰まりを引き起こす可能性があります。この状況では、水を流しても排水が進まず、むしろ水位が上昇してしまうことがあります。通常のラバーカップや市販の詰まり解消剤では効果が見られず、便器内部や排水管に大量の異物が固着している可能性が高いです。このような場合、便器を取り外して直接詰まりの原因にアプローチすることが、最も効果的な解決方法となります。便器を外すことで、詰まりの正確な位置を特定し、適切な除去作業を行うことができます。

固形物など水に溶けないものを流して詰まったとき

水に溶けない固形物がトイレに流されてしまった場合も、便器の取り外しが必要になることがあります。

例えば、子供のおもちゃ、アクセサリー、歯ブラシなどが誤って流されてしまった場合が該当します。これらの物体は、トイレの配管システムを通過できずに詰まりの原因となります。水に溶けない固形物による詰まりは、通常の方法では解消が難しく、便器を取り外して直接アプローチする必要があります。

便器を外すことで、詰まりの原因となっている固形物を確実に取り除くことができ、トイレの機能を完全に回復させることが可能になります。

便器の脱着を業者に依頼した場合にかかる料金の相場

便器の脱着を専門業者に依頼する場合、料金の相場を知っておくことは重要です。一般的に、便器の脱着にかかる費用は、作業の複雑さや地域によって異なりますが、およそ2万円から5万円程度が相場となっています。この料金には、便器の取り外し、詰まりの解消、便器の再設置が含まれます。ただし、追加の部品交換や特殊な工具が必要な場合は、別途費用がかかる可能性があります。深夜や休日の緊急対応の場合は、割増料金が発生することもあるため、事前に業者に確認することをおすすめします。

便器を取り外すのは自分でもできる?

便器の取り外しを自分で行うことは、一定の知識と技術があれば可能です。

しかし、専門的な作業であるため、初心者にはハードルが高いと言えるでしょう。自分で行う場合のメリットとしては、業者に依頼するよりも費用を抑えられることが挙げられます。また、作業の過程を理解することで、今後のメンテナンスにも役立ちます。

一方で、デメリットもあります。誤った作業を行うと、便器や床を傷つけたり、水漏れを引き起こしたりする可能性があります。また、重量のある便器を扱うため、怪我のリスクもあります。自分で作業を行う場合は、十分な準備と注意が必要です。作業手順を事前に調べ、必要な工具を揃え、安全に配慮しながら慎重に作業を進めることが重要です。自信がない場合や、複雑な問題が予想される場合は、専門業者に依頼することをおすすめします。

便器を取り外してトイレの詰まりを直す方法

便器を取り外してトイレの詰まりを直す方法は、一連の手順を正確に行うことで可能です。この作業には、適切な工具と注意深い作業が必要です。以下では、便器の取り外しに必要なものや、タンクと便器の取り外し・取り付けの手順について詳しく説明します。これらの作業を行う前に、水道の元栓を閉めることを忘れずに。また、作業中は床を保護し、取り外した部品を整理して保管することが重要です。それでは、具体的な手順を見ていきましょう。

便器の取り外しに必要なもの

便器を取り外す作業を始める前に、必要な工具と材料を準備することが重要です。主に以下のものが必要となります。

  • ・モンキーレンチ
  • ・プラスドライバーとマイナスドライバー
  • ・ペンチ
  • ・バケツ
  • ・スポンジや布
  • ・新しいワックスリング
  • ・保護手袋
  • ・ゴーグル
  • ・新しいボルトセット(必要に応じて)

これらの道具を事前に用意しておくことで、作業をスムーズに進めることができます。特に、安全面に配慮し、保護手袋とゴーグルの着用を忘れずに。また、床を守るためのシートや古いタオルも用意しておくと良いでしょう。

タンクを取り外す

タンクの取り外しは、便器本体を取り外す前の重要なステップです。まず、タンク内の水を完全に抜きます。水を抜くには、レバーを押して水を流し、タンク内に残った水はスポンジや布で拭き取ります。次に、給水管をタンクから取り外します。この際、水が漏れる可能性があるので、バケツを下に置いておくと良いでしょう。

給水管を外したら、タンクと便器本体を固定しているボルトを確認します。通常、タンクの下部に2〜3本のボルトがあります。これらのボルトをモンキーレンチやスパナを使って慎重に緩めていきます。ボルトを緩める際は、タンクが不安定になるので、誰かに支えてもらうと安全です。

全てのボルトを取り外したら、タンクを慎重に持ち上げます。タンクは意外と重いので、腰を痛めないよう注意が必要です。タンクを取り外したら、安全な場所に置きます。この時、タンクの底部にあるゴムパッキンの状態を確認し、劣化している場合は新しいものと交換することをおすすめします。

便器を取り外す

便器本体の取り外しは、タンクを取り外した後に行います。まず、便器の両側にある装飾用のキャップを外します。これらのキャップの下には、便器を床に固定しているボルトがあります。ボルトを外す前に、便器の周りをきれいに掃除し、作業スペースを確保しましょう。

次に、モンキーレンチを使ってボルトを慎重に緩めていきます。ボルトが錆びついている場合は、潤滑油を使用すると作業がしやすくなります。全てのボルトを取り外したら、便器を前後に少し揺すって、床からの固着を解きます。この時、便器の下にあるワックスリングが破損する可能性がありますが、後で新しいものに交換するので問題ありません。

便器を持ち上げる前に、床に保護シートを敷いておくと良いでしょう。便器は非常に重いので、必ず誰かの手を借りて二人で作業を行います。便器を持ち上げる際は、腰を痛めないよう、膝を曲げて背筋を伸ばした状態で行いましょう。

便器を取り外したら、床のフランジ(便器と排水管を接続する部分)を確認します。古いワックスリングを完全に取り除き、フランジの状態を点検します。フランジに損傷がある場合は、この機会に修理または交換することをおすすめします。

便器を取り付ける

便器の取り付けは、取り外しの逆の手順で行います。まず、床のフランジに新しいワックスリングを取り付けます。ワックスリングは便器と床の間をしっかりとシールし、水漏れを防ぐ重要な役割を果たします。ワックスリングは正確に中心に置き、潰れないように注意しましょう。

次に、便器を慎重に持ち上げ、フランジの上に正確に配置します。この作業も二人で行うことをおすすめします。便器を置く際は、ボルトの位置を確認し、きちんと合わせるようにします。便器が正しい位置に収まったら、全体の重量をかけてワックスリングをしっかりと押しつぶします。

便器が安定したら、ボルトを取り付けていきます。ボルトは最初は手で締め、便器の位置を微調整できるようにしておきます。便器が正しい位置に収まったことを確認したら、モンキーレンチを使って均等に締めていきます。ただし、締めすぎると便器が割れる可能性があるので、適度な強さで締めることが重要です。

最後に、ボルトの上に装飾用のキャップを取り付けます。この時、キャップがきちんとはまるか確認し、必要に応じて調整を行います。便器の取り付けが完了したら、がたつきがないか、水平に設置されているかを確認します。

タンクを取り付ける

タンクの取り付けは、便器本体の設置が完了した後に行います。まず、タンクの底部にあるゴムパッキンの状態を再確認し、必要であれば新しいものに交換します。このパッキンは、タンクと便器本体の間の水漏れを防ぐ重要な役割を果たします。

次に、タンクを便器の上に慎重に持ち上げ、位置を合わせます。タンクは重いので、この作業も二人で行うことをおすすめします。タンクを置く際は、便器との接合部分が正確に合っているか確認しましょう。

タンクが正しい位置に収まったら、固定用のボルトを取り付けていきます。ボルトは最初は手で締め、タンクの位置を微調整できるようにしておきます。タンクが適切な位置に収まったことを確認したら、モンキーレンチやスパナを使って均等に締めていきます。ただし、締めすぎるとタンクや便器が破損する可能性があるので、適度な強さで締めることが重要です。

全てのボルトを締めた後、給水管をタンクに接続します。接続部分にはテフロンテープを巻くと、より確実に水漏れを防ぐことができます。給水管の接続が完了したら、水道の元栓をゆっくりと開けて、水漏れがないか慎重に確認します。

最後に、タンクに水を満たし、数回水を流して正常に動作するか確認します。この時、タンクと便器の接合部分や、給水管の接続部分に水漏れがないか、よく観察しましょう。問題がなければ、タンクの蓋を取り付けて作業完了です。

まとめ

トイレの深刻な詰まりに対処するために便器を取り外す作業は、適切な知識と準備があれば自分でも行えます。しかし、作業には注意と慎重さが必要です。自信がない場合や、複雑な問題が予想される場合は、専門業者に依頼することをおすすめします。便器の取り外しと再設置の過程を理解することで、トイレのメンテナンスに関する知識が深まり、将来的なトラブル対処にも役立ちます。

適切な工具を用意し、安全に配慮しながら作業を進めることが重要です。また、水漏れや便器の破損を防ぐため、各手順を丁寧に行うことが大切です。この作業を通じて、日常生活で欠かせないトイレの仕組みについて理解を深めることができるでしょう。

トイレの詰まりは予期せぬときに発生しますが、この記事で紹介した知識を活用することで、より効果的に対処できるようになります。ただし、自分で解決できない問題に直面した場合は、迷わず専門家に相談することをお忘れなく。適切なメンテナンスと迅速な対応で、トイレのトラブルを最小限に抑え、快適な生活環境を維持しましょう。