トイレタンクの故障は、日常生活に大きな支障をきたす深刻な問題です。
部品の劣化や破損により水漏れが発生したり、水の流れが悪くなったりすることは珍しくありません。このような状況に直面したとき、専門業者に依頼するべきか、それとも自分で交換作業に挑戦するべきか悩む方も多いでしょう。
本記事では、トイレタンクの交換について、自己施工の可否や具体的な手順、費用の相場まで詳しく解説していきます。
目次
自分でトイレタンクの交換はできる?
トイレタンクの交換は、一定の知識と技術があれば自分でも可能な作業です。ただし、いくつかの重要な注意点があります。以下、詳しく説明していきましょう。
交換はできるが失敗したときの被害が大きい
トイレタンクの交換作業は、慎重に進める必要があります。なぜなら、作業を誤ると深刻な水漏れや水害を引き起こす可能性があるためです。
特に集合住宅の場合、水漏れが下の階にまで影響を及ぼすと、多額の補償費用が発生する可能性があります。
また、適切な工具や部品を使用しないと、配管を傷つけたり、新しいタンクが正しく機能しなかったりするリスクもあります。さらに、取り付けの際にパッキンやボルトの締め付けが不適切だと、後々水漏れの原因となることもあります。
トイレのタンクだけを交換することはできる?
トイレのタンク交換について、便器との関係性から説明していきます。タイプや設置年数によって、対応が異なってきます。
トイレのタイプ・種類によっては交換できる
組み合わせ式のトイレであれば、タンクだけを交換することが可能です。特に比較的新しい製品は、メーカーが交換用のタンクを用意していることが多く、部品の入手も容易です。
型番が古いものだと交換できないケースもある
古い型番のトイレの場合、メーカーが該当する交換用タンクの製造を終了していることがあります。
また、規格が現行のものと異なり、新しいタンクを取り付けることができない場合もあります。
交換できるタンクの種類
現在市場に出回っているトイレタンクには、主に以下の3種類があります。
- 組み合わせタイプ
- 一体化タイプ
- タンクレスタイプ
組み合わせタイプ
組み合わせタイプは、タンクと便器が別々の部品として構成されているトイレです。このタイプは最もタンク交換がしやすいと言えます。タンクと便器の接続部分が明確で、工具を使って比較的簡単に取り外すことができます。
また、同じメーカーの同型シリーズであれば、新しいタンクへの交換も容易です。給水管との接続も標準的な規格に従っているため、適合する部品を見つけやすいのも特徴です。
一体化タイプ
一体化タイプは、タンクと便器が一つの製品として製造されているトイレです。このタイプはタンクだけを交換することが困難です。タンクに問題が発生した場合、基本的にはトイレ全体を交換する必要があります。
ただし、内部の機構部品については交換可能な場合が多いため、タンク本体ではなく内部パーツの不具合であれば、部品交換で対応できることもあります。デザイン性が高く、掃除がしやすいという利点がありますが、メンテナンス性については組み合わせタイプに劣ります。
タンクレスタイプ
タンクレスタイプは、見た目上のタンクがなく、壁面に配管と機械部品が収納されているトイレです。このタイプは専門的な知識と技術が必要なため、自己交換は推奨されません。
配管が壁面に埋め込まれているため、交換作業には壁の解体が必要になることもあります。
また、電気配線や特殊な機構が組み込まれているものも多く、誤った作業は深刻な事故につながる可能性があります。
タンク交換が不可能なケース
以下のようなケースでは、タンクの交換が事実上不可能か、非常に困難になります。
- 製造終了から長期間が経過し、適合する交換部品が入手できない場合
- タンクと便器が一体化しており、分離が不可能な構造になっている場合
- 建物の構造上、タンクの取り外しや新規取り付けが物理的に困難な場合
- 配管の規格が現行の製品と合わない場合
特に築年数が古い住宅や、海外製のトイレの場合は要注意です。作業を始める前に、必ず製品の仕様や交換部品の入手可能性を確認しましょう。
トイレタンクを交換する際の流れ
タンクの交換作業は、以下の手順で行います。
- 1,止水栓を止める
- 2,基本工事費:タンク内の水を抜く
- 3,部品代:5,000円~15,000円
- 4,諸経費:5,000円~10,000円
止水栓を止める
タンク交換の最初のステップは、必ず給水を止めることです。止水栓は通常、トイレ横の壁面や床面に設置されています。時計回りに回して完全に閉めることで、給水を停止できます。
給水を止めた後は、タンク内の水を流して空にします。この際、止水栓が完全に閉まっているか確認することが重要です。水が少しでも流れ続けていると、作業中に水漏れが発生する可能性があります。
タンク内の水を抜く
止水後は、タンク内に残っている水を完全に抜き取る必要があります。レバーを操作してタンク内の水を流し、それでも残っている水はバケツやタオルを使って取り除きます。水を完全に抜くことで、作業時の水漏れや汚れを最小限に抑えられます。
古いタンクを取り外す
給水ホースと固定ボルトを外し、慎重に古いタンクを取り外します。この作業では、配管や便器を傷つけないよう特に注意が必要です。取り外したボルトやナットは、紛失しないように保管しておきましょう。
新しいタンクの取り付け準備
新しいタンクを取り付ける前に、接続部分の清掃と点検を行います。古いパッキンや異物を完全に除去し、接続面を清潔な状態にします。また、新しいタンクに付属している部品が揃っているか確認することも重要です。
新しいタンクの取り付けと確認
新しいタンクを慎重に設置し、付属の部品で固定します。ボルトの締め付けは均一に行い、きつすぎず緩すぎない程度に調整します。取り付け後は、給水を再開して水漏れがないか入念にチェックします。
トイレタンクの交換が不安な場合は専門業者に依頼しよう
自力での作業に不安を感じる場合は、迷わず専門業者への依頼をおすすめします。
専門業者に依頼すれば、豊富な経験と専門知識と、適切な工具や部品を使用して安全確実に作業を進めてもらえます。
また、業者に依頼することで、保証サービスが付くことも大きなメリットです。万が一の水漏れや不具合にも、迅速に対応してもらえます。特に、集合住宅や高価なトイレの場合は、専門業者への依頼を検討すべきでしょう。
トイレのリフォーム業者を選ぶ際のポイント
信頼できる業者を選ぶためには、以下のポイントに注意して検討する必要があります。
- 希望のメーカーや商品を扱っているか
- 実績と評判を確認する
- 保証内容を確認する
- 見積もりの透明性を確認
- アフターフォローの充実度
希望のメーカーや商品を扱っているか
業者選びで最も重要なのは、希望するメーカーや商品を取り扱っているかどうかです。
メーカーの正規代理店であれば、純正部品の入手や適切な施工が期待できます。また、複数のメーカー製品を扱っている業者なら、予算や好みに合わせた提案も可能です。
実績と評判を確認する
施工実績が豊富で、顧客からの評判が良い業者を選びましょう。過去の施工事例や口コミ情報を参考にすることで、業者の信頼性を判断できます。
また、実際の施工現場の写真や、具体的な施工手順の説明ができる業者は、技術力が高いと考えられます。
保証内容を確認する
工事後の保証内容は、業者選びの重要なポイントです。施工保証期間や保証範囲について、具体的な説明を求めましょう。
また、アフターサービスの内容や、緊急時の対応体制についても確認が必要です。
見積もりの透明性を確認
見積もりの内容が明確で、追加費用の発生条件なども詳しく説明してくれる業者を選びましょう。部品代、工賃、諸経費など、費用の内訳が明確に示されていることが重要です。複数の業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
アフターフォローの充実度
施工後のメンテナンスやトラブル対応も重要な選定ポイントです。定期的な点検サービスや、緊急時の対応体制が整っている業者を選びましょう。
また、施工後の使用方法や注意点について、丁寧な説明をしてくれる業者は信頼できます。
トイレタンクの交換費用の相場
トイレタンクの交換費用は、タンクの種類や工事の内容によって大きく異なります。一般的な相場は以下の通りです。
- タンク本体:15,000円~50,000円
- 基本工事費:20,000円~40,000円
- 部品代:5,000円~15,000円
- 諸経費:5,000円~10,000円
合計すると、一般的な交換工事で45,000円~115,000円程度となります。ただし、高級タンクや特殊な工事が必要な場合は、さらに費用が上昇する可能性があります。
まとめ
トイレタンクの交換は、適切な知識と技術があれば自分で作業することは可能です。
しかし、失敗した場合のリスクも大きいため、自信がない場合は専門業者への依頼を検討しましょう。
業者選びの際は、実績や評判、保証内容などを十分に確認し、信頼できる業者を選択することが重要です。
また、交換費用は工事の内容によって大きく異なるため、複数の見積もりを取って比較検討することをおすすめします。適切なメンテナンスと定期的な点検を行うことで、トイレタンクを長く快適に使用することができます。