施設や店舗のトイレを詰まらせたら焦りのあまり、故意でなくても逃げ出したくなってしまいますよね。
しかし、トイレを詰まらせたまま逃亡すると、不要なトラブルに巻き込まれるリスクがあります。
この記事では、施設や店舗のトイレを詰まらせたら罪に問われるのか、逃げた場合のリスク、該当する罪状やトイレを詰まらせた場合の対応、自分で詰まりを解消する方法を紹介します。
目次
施設や店舗のトイレを詰まらせたら罪に問われる?
トイレを一般的な常識の範囲で使用したうえで詰まりが生じた場合に、罪に問われる可能性は低いです。
トイレがつまる原因は様々あり、必ずしも使用者の過失とは言い切れないためです。
あなたがトイレを故障させようとしたり、通常の用途と違う方法で使用していない場合は、罪に問われる可能性は低いでしょう。
また、万が一施設や店舗からトイレの修理費用を請求されたとしても、法的に支払いの義務は発生しないケースが多いです。
トイレを詰まらせたときに逃げるとトラブルに発展する可能性がある
冒頭で一般的な使用の範囲で施設や店舗のトイレを詰まらせても、罪に問われない可能性が高いと説明しました。
しかし、トイレを詰まらせたうえで店舗や施設のスタッフに報告をせずに逃げた場合は、トラブルに発展する場合があります。
- 逃げても後から損害賠償を請求される可能性がある
- 故意の場合は当然罪に問われる
逃げても後から損害賠償を請求される可能性がある
故意でなくトイレを詰まらせた後に報告をせず、そのまま逃げた場合は店舗や施設から損害賠償を請求されるかもしれません。
あなたが故意にトイレを詰まらせたわけでなくても、逃亡したことで心象が悪くなり、何かしらやましいことがあると判断されるためです。
仮に現行犯でなくとも防犯カメラの映像や目撃証言から、あなたの居場所を特定され、後日店舗や施設から損害賠償を請求される可能性はあるでしょう。
あなたがわざとトイレを詰まらせたわけではないと説明しても、故意でないことを証明するのは非常に難しいことです。
故意でないなら逃亡する必要性はないことから疑われてしまい、信じてもらえなくなる可能性があります。
故意の場合は当然罪に問われる
もちろんあなたが故意にトイレを詰まらせて逃亡した場合は、器物損壊罪や偽計業務妨害により罰せられる可能性があります。
例えば、トイレに悪ふざけでトイレットペーパーを大量に流したり、異物を流したような場合は当然あなたに責任があります。
トイレをわざと詰まらせて、さらに逃亡したとなれば店員からの心象も悪くなり和解も難しくなる場合があるでしょう。
刑事罰だけでなく、民事で損害賠償を請求されるようなこともあるため、決して逃げてはいけません。
施設や店舗のトイレを詰まらせたときに罪に問われるケースと罪状
施設や店舗のトイレを詰まらせた場合に問われる罪状とその要件を解説します。
- 器物損壊罪
- 偽計業務妨害
器物損壊罪
トイレを詰まらせた場合は、刑法第261条「器物損壊罪」に問われる可能性が高いです。
(器物損壊等)
第二百六十一条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。引用:刑法 | e-Gov法令検索
器物損壊罪に該当するのは、わざと他人のものを損壊した場合です。
つまりトイレットペーパーを大量に流したり、異物を流してトイレをわざと詰まらせた場合が該当します。
なお、器物損壊罪には過失が認められていないため、故意でなくトイレを詰まらせた場合は該当しません。
偽計業務妨害
トイレを詰まらせることで、店舗や施設の業務を妨害した場合は「偽計業務妨害」に該当する可能性があります。
(信用毀損及び業務妨害)
第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。引用:刑法 | e-Gov法令検索
偽計業務妨害とは、店舗や施設の営業を妨害しようと不正な手段を用いることです。
つまり、トイレをわざと詰まらせる行動をした場合は、偽計業務妨害に該当し、罪に問われます。
施設や店舗のトイレを詰まらせたときは逃げずに報告がベスト
ここまで説明した罪状は刑法上のものであり、過失の場合は該当しません。
ただし、過失であってもつまりを報告せず逃げた場合は過失責任を問われ、損害賠償を請求されるリスクがあります。
あなたがわざとトイレを詰まらせていなくても、逃亡すれば故意だったと判断される可能性は少なくないでしょう。
「していないこと」を証明するのは悪魔の証明と呼ばれ、法律上でも証明が困難であるとされています。
言われないことで器物損壊や偽計業務妨害の罪に問われないためにも、万が一トイレが詰まったら施設や店舗のスタッフにすぐに報告して、対処してもらいましょう。
一般的にトイレの詰まりを直ちに利用者の責任として処罰する事例は少ないため、逃げずにきちんと報告をしていれば、責任を問われることはほぼありません。
施設や店舗のトイレを詰まらせてしまったときに自分でできる対処法
施設や店舗のトイレを詰まらせたら、直ちにスタッフに報告するのがベストです。
しかし、原因によっては以下のような対処法で詰まりを解消できるかもしれません。
- しばらく放置して様子を見る
- お店の人に報告して自分で対処したいと伝える
- ラバーカップを使って詰まりを解消させる
- ビニール袋や割り箸を使って対処できるケースも
自分で詰まりを解消できる場合もあるので、この4つの中から適切な対処を行いましょう。
しばらく放置して様子を見る
施設や店舗のトイレを詰まらせたら、しばらく放置して様子を見ましょう。
トイレットペーパーや排泄物は水に溶ける性質を持っているので、時間を置くと徐々に溶け出して、流れる可能性があるからです。
トイレットペーパーや排泄物の量にもよりますが、30分〜1時間程度時間をおけば、詰まりが解消される可能性はあります。
ただし、あまりに長時間トイレを使っていると店員が心配して声をかけてくるかもしれません。
その場合はトイレが詰まってしまっており、様子を見ていると伝えると良いでしょう。
お店の人に報告して自分で対処したいと伝える
しばらく様子を見ても詰まりが解消しない場合は、お店の人へすぐにトイレの異常を報告してください。
決して放置して逃げたり、勝手に掃除用具を使って詰まりを解消しようとしてはいけません。
店舗や施設のスタッフの人へトイレが詰まった旨を報告して、「詰まりが解消するように対処させてほしい」と頼みましょう。
スタッフがトイレの状況を確認し、掃除用具などを使って良いと許可した場合は自分で対処しても構いません。
また、スタッフから「当店でつまりを解消するので、対応は不要です」と言われた場合は、そのまま帰宅しましょう。
基本的に施設や店舗のトイレはお店の所有物なので、どう対処するかはお店の責任者が判断します。
トイレのつまりについて報告したうえで、責任者の判断に従って行動してください。
ラバーカップを使って詰まりを解消させる
- 店員にラバーカップを借りる
- トイレの排水口にゴム部分を押し当てる
- 強く引いて水流を作る
- 何度か繰り返す
店員にトイレのつまりを解消するよう対処して良いと許可を得た場合は、ラバーカップを借りて詰まりを解消できるか試してみましょう。
ラバーカップは先端についているゴム部分を排水口に押し当てて水流を作り出し、つまりを押し流すための道具です。
施設や店舗に常備されているケースが多いので、貸してもらえる場合はラバーカップを使ってみましょう。
軽度の詰まりであればラバーカップを複数回押し当てて、引くうちに詰まりが解消して、水が流れるようになります。
ビニール袋や割り箸を使って対処できるケースも
- ビニール袋を手にはめる
- 割り箸をビニール袋越しに持つ
- 便器内に見えている異物を挟んで取り出す
- 水が問題なく流れるか確認する
施設や店舗のトイレにナプキンやスマートフォンなどの異物を流してしまい、その異物がまだ便器内の排水口に見えている場合はビニール袋や割り箸で取り出すことで詰まりが解消します。
割り箸が手元にない場合は、ビニール袋で手を覆ったうえで取り出すこともできます。
ビニール袋を手にはめて、割り箸を使って異物を取り出しましょう。
便器は雑菌が繁殖しており不衛生な環境なので、素手で取り出すことがないようにしてください。
また、取り出した異物はしっかり洗浄し、手も石鹸でしっかり洗い流すようにしましょう。
以上の方法を試してもトイレの詰まりが解消しない場合は、専門の修理業者による対処が必要です。
この場合は店員にトイレの詰まりが解消しないことを報告して、対処してもらいましょう。
まとめ
施設や店舗のトイレを詰まらせたら、まず店員に報告して指示を仰ぎましょう。
決して逃げたり、勝手にトイレつまりを解消する為に掃除用具を使ってはいけません。
逃亡することでわざとじゃないのに「悪質な悪戯」と判断される可能性もあります。
故意にせよ、故意でないにせよトイレのつまりを発生させたら、速やかに店員に報告して、適切な対応をするようにしてください。