普段トイレを使っていると、スマートフォンやアクセサリーなど本来流してはいけない異物を流してしまうことがあります。

トイレに異物を流してしまった場合、自分で対処しようとする人も少なくありませんが、NGな対処法もあるため注意しなくてはいけません。

この記事では、NGな方法で事態を悪化させてしまわないよう、トイレに異物を流してしまったときのNGな対処法と正しい対処法について解説していきます。

無理に自分で対処しようとせずに業者に依頼するのをおすすめする理由や業者の選び方もまとめているので、ぜひ参考にしてください。

トイレに流した異物はどこへ行く?

戸建てやマンションなどのトイレから排出された汚水は、排水管を通り、汚水桝を経由して下水処理場へと運ばれていきます。

汚水桝はゴミや泥などを水と分離させるための設備です。汚水桝や排水管がちょっとしたゴミや汚れで詰まることはありません。

ただ、異物の種類や大きさによっては汚水桝や排水管が詰まり、「水が流れない」「汚水が逆流してくる」などのトラブルが発生するようになります。

マンションなどの集合住宅の場合、共用の排水管が詰まって他の部屋に迷惑をかけてしまうこともあるため注意しなくてはいけません。

トイレに流したら良くない異物とは?

トイレには流すことができるのは、基本的に以下のもののみです。

  • 尿
  • 便
  • トイレットペーパー
  • 流せるタイプのトイレクリーナー

これら以外のものを流すことは推奨されていません。
子どものおもちゃやプラスチック類などの固形物はもちろん、食べ残しや髪の毛なども詰まりの原因となります。

また同じ排泄物ということでペットの糞は流して処分できると思われがちですが、ペットの糞には例えばペット自身の体毛が含まれていて詰まりの原因になるため、流して処分することはおすすめできません。

そのほか、アルコールの飲み過ぎによる二日酔いでトイレに吐いてしまったことがあるという方も少なくないかと思いますが、吐瀉物も詰まりを引き起こす可能性があるため、トイレで吐くのも厳禁です。

トイレでは、人間の排泄物やトイレットペーパー、流せるタイプのトイレクリーナー以外のものは流さないようにするべきだと言えるでしょう。

トイレに異物を流したときのNG対処法

トイレに異物を流したときの対処法の中には、やるべきではないNGな対処法もあるため注意が必要です。

具体的な対処法としては以下の3つがあげられます。

  • ラバーカップを使う
  • 大量の水を流す
  • 小さいから大丈夫と異物を放置する

それぞれ、なぜNGなのか解説していきます。

ラバーカップを使う

トイレの詰まりを解消するアイテムとして定番と言えるラバーカップですが、トイレに異物を流したときの対処法としてはおすすめできません。

ラバーカップは押し込んだときの圧力で詰まりを解消する道具で、固形物に対しては効果がありません。

それどころか、異物を配管の奥に押し込んでしまい、状況を悪化させる可能性があります。

ラバーカップで異物を配管の奥に押し込んでしまうと、取り出すのが困難になり、修理費用が高くつく可能性があるので、安易に使用しないようにしましょう。

大量の水を流す

トイレに異物を流してしまったときは大量の水を流すのもNGです。

流した異物が配管を詰まらせている場合、水の行き場がなくなり、逆流して便器から溢れ出てしまう可能性があります。

便器から水が溢れ出てきてしまうと衛生的によくありませんし、トイレの床材もダメにすることもあるため注意が必要です。

集合住宅の場合、階下の部屋に影響が出るなど事態を悪化させかねませんので、異物を流したときは水を流すのを控えるようにしましょう。

小さいから大丈夫と異物を放置する

トイレに異物を流したときのNGな対処法の中でも特にやってはいけないのが、「小さいから大丈夫だろう」と安易な考えで異物を放置する方法です。
放置していると、徐々に水の流れが悪くなり、最終的に完全に詰まってしまう可能性があります。
集合住宅では、放置していたことによるトイレの詰まりで、別の部屋に影響が出た場合、修繕費を負担しなければならないだけでなく、慰謝料や損害賠償を請求されることもあるので、放置せずにしっかりと対応するようにしましょう。

トイレに異物を流したときに自分でできる対処法

トイレに異物を流してしまったときは、以下の流れで対処できます。

  1. 異物が詰まったかテストする
  2. 長めのゴム手袋を用意する
  3. 便器の水を汲み出して水位を下げる
  4. 便器の中に手を突っ込んで異物を出す

便器の中に手を入れなくてはならないため抵抗がある方もいると思いますが、異物が見えている場合にはこの方法が有効なので、ぜひ覚えておくようにしましょう。

それぞれの工程を詳しく解説していきます。

異物が詰まったかテストする

トイレに異物を流してしまった場合、まずは異物が詰まったかどうかテストして確認する必要があります。

汚水桝を開けてスコップなどでガードしたら、ピンポン玉サイズに丸めたトイレットペーパーを5〜6個便器に入れて流し、再度汚水桝を確認します。
このとき、スコップでガードした場所までトイレットペーパーが流れてきているようであれば詰まりの心配はありません。

一方、トイレットペーパーが流れてこなかった場合はトイレの内部での詰まりが発生している可能性があります。

このテスト方法は戸建て向けの方法です。

マンションなどの集合住宅では汚水桝をチェックすることができないので、管理会社や修理業者に連絡して対処してもらうようにしましょう。

長めのゴム手袋を用意する

トイレ内部で詰まりが発生しているのを確認できたら、実際に異物を取り出す作業に取り掛かっていきます。

異物の取り出しは手で行いますが、素手での作業は衛生面的におすすめできませんし、かなり奥まで手を突っ込む可能性があるので、肘のあたりまで覆えるゴム手袋を用意して装着するようにしましょう。

便器の水を汲み出して水位を下げる

ゴム手袋を装着したら、この後の作業をスムーズに進められるようにするために、溜まっている水をできる限り汲み出し、便器の中の水位を下げていきます。

異物が目視できる位置にある場合や水が溜まっていない場合は、この工程は必要ありません。

便器の中に手を突っ込んで異物を出す

便器の中の水を汲み出したら、便器に手を突っ込んで異物を取り出していきます。

トイレの奥の配管はカーブしているので、手探りでの作業にはなりますが、しっかりと隅々まで確認するようにしてください。

手が届く範囲に異物がないときや固定されていて取り出すのが困難なときは、無理に対処しようとせず、必ず業者に依頼するようにしましょう。

トイレに異物を流したら業者に依頼するのがおすすめ

トイレに異物を流してしまったときには、無理に自分で対処しようとせず、業者に任せるのが一番です。

業者への依頼をおすすめする理由としては、以下の3点があげられます。

  • 短時間で異物を取り出してもらえる
  • 自力だと配管や便器を痛めるリスクがある
  • 便器に手を突っ込むことなくつまりを解消できる

それぞれ詳しく解説していきます。

短時間で異物を取り出してもらえる

トイレの修理業者は、専用の機材や薬剤を持っているトイレ修理の専門家です。

知識や経験をもとに原因を素早く特定してくれるのはもちろん、作業のスピードも素人とは比べ物にならないほど早いので、短時間で異物を取り出してもらえます。

トイレは私たちの生活に欠かせない使用頻度の高い住宅設備なので、短時間で対処してもらえる点は大きなメリットだと言えるでしょう。

自力だと配管や便器を痛めるリスクがある

トイレの修理業者はトイレのことを知り尽くしている専門家なので、便器や配管を痛めずに異物を取り出してくれます。

一般の方がラバーカップや棒を使って対処しようとすると、どうしても雑になったり不適切な方法で対応してしまうため、便器や配管を痛めるリスクがあります。

手で作業したとしても便器や配管を痛めるリスクが完全にゼロになることはないので、やはり専門家である修理業者に任せるべきだと言えるでしょう。

便器に手を突っ込むことなくつまりを解消できる

異物の回収を業者に依頼した場合は自分で対処する必要がありません。

便器に手を突っ込む必要はありませんし、汚水桝をあけて対処する必要もありません。

便器に手を入れる対処法について「衛生的に無理」と感じている方も少なくないかと思いますが、業者に依頼すれば、自分で嫌な作業をせずに対処できます

トイレに異物を流した際に業者を呼ぶ流れ

業者を呼んで対応してもらう際の流れは以下のとおりです。

  1. 止水栓を閉める
  2. 業者に連絡して見積もりを依頼する
  3. 見積もりを提示してもらい金額に納得したら作業してもらう

それぞれの工程を詳しく解説していきます。

止水栓を閉める

異物の回収を業者に依頼する際は、まずトイレの止水栓を閉めて水が流れないようにしましょう。

水が流れる状態にしておくと、何かの拍子で異物がトイレの奥に流れてしまう可能性があります。

異物が奥に入り込むと修理代がかさむ可能性があるので、マイナスドライバーなどを使って止水栓を閉めておくようにしてください。

業者に連絡して見積もりを依頼する

止水栓を閉めたら、インターネットで業者を探して見積もりを依頼しましょう。

見積もりを依頼することで正しい金額を把握できるようになりますし、業者の対応が丁寧かどうかもチェックできます。

可能であれば複数の業者に見積もりを依頼し、料金や対応を比較した上でどの業者に依頼するか決めるようにしましょう。

見積もりを提示してもらい金額に納得したら作業してもらう

業者が決まってもいきなり作業させるのはNGです。

必ず見積もりの内容に目を通し、作業内容と金額に納得できるか確認したうえで契約を交わし、作業してもらうようにしましょう。

そうすることで追加での請求など契約に関するトラブルを未然に防げるようになります。

万が一トラブルになった場合は、納得のいく金額での支払いの意志は示しつつ、その場での料金支払いはせず、消費者センターや弁護士などに相談するようにしてください。

トイレに異物を流したときの業者選びのポイント

トイレの修理をおこなっている業者は数が多く、技術力や依頼した場合の料金は業者によって異なります。

業者選びで後悔したり失敗したりしないために押さえておくべきポイントとしては、

  • 格安を謳っておらず明確な料金表がある
  • 見積書や契約書をきちんと発行してくれる

の、2点があげられます。

これら2点のポイントについて、詳しく解説していきます。

格安を謳っておらず明確な料金表がある

インターネットでトイレの修理業者を探していると、格安を謳い、相場よりもかなり安い金額を提示している業者が見つかることがあります。

ただ、格安を謳い文句にしている業者は、オプション料金などの名目で高額請求するなどトラブルに発展するケースが多いためおすすめできません

実際、消費者庁による注意喚起もなされています。

参照元:消費者庁

業者を選ぶ際は、価格だけで選ぶのでなく、金額が適正かどうかや明確な料金表があるかどうかにも注目しながら選ぶようにしましょう。

見積書や契約書をきちんと発行してくれる

優良なトイレの修理業者は、見積書や契約書を発行した上で作業をおこないます。

見積書を作成せずに作業を始めたり、契約を交わす前に作業し始めるようなことはありません。

見積もりや契約の前に作業し始める業者は対応に疑問が残りますし、書類を出したがらない業者は悪徳業者の可能性があるので、そういった業者とは契約しないようにしましょう。

まとめ

トイレに異物を流してしまった場合は、安易にラバーカップで取り出そうとしたり水を大量に流したりする方法では対処せず、今回紹介した正しい方法で対処するようにしてください。

紹介した正しい対処法を実践しても異物を取り出すことができないときは、無理に取り出そうとせず、業者に依頼して対応してもらうようにしましょう。

また、業者を選ぶ際は、格安を謳っておらず明確な料金表があるかどうか、見積書や契約書をきちんと発行してくれるかどうかに注目しながら選ぶことが大切です。