トイレのバキュームブレーカーは、トイレの機能を維持する重要な部品ですが、くわしい方は数少ないでしょう。しかし、この部品が故障するとトイレの水が止まらなくなったり、水漏れが発生したりします。
本記事では、バキュームブレーカーの役割から水漏れする原因、対処法について解説します。専門の修理業者に依頼するタイミングについても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
トイレのバキュームブレーカーとは
フラッシュバルブタイプのトイレによく使われている
バキュームブレーカーは、主に商業施設やオフィスビルで見かけるフラッシュバルブ式トイレに組み込まれている重要な装置です。この装置は、強力な水圧で便器を洗い流す際に、汚水が給水管に逆流するのを防ぐ役割があります。給水タンクを持たないフラッシュバルブ式トイレでは、この部品が適切に機能することで衛生的なトイレ環境が保たれています。
トイレのバキュームブレーカーが壊れたらどうなるのか
バキュームブレーカーが故障すると、複数の問題が発生する可能性があります。最も深刻なのは汚水の逆流による衛生面でのリスクです。また、水が止まらなくなったり、逆に十分な水量が確保できなくなったりすることもあります。さらに、部品の劣化が進むと水漏れが発生し、水道料金の無駄な上昇にもつながります。
点検時期と交換時期
バキュームブレーカーの点検は、年に1回程度の定期的な実施が推奨されています。特に設置から5年以上経過している場合は、部品の劣化が進んでいる可能性が高いため、より頻繁な点検が必要です。明確な異常が見られなくても、使用開始から8年から10年が経過した時点で予防的な交換を検討することをお勧めします。
フラッシュバルブタイプのトイレでよくある症状
水が流れたまま止まらなくなる
水が止まらない現象は、バキュームブレーカー内部の弁が正常に閉じない状態になっていることが主な原因です。この症状が発生すると、大量の水が無駄に流れ続けることになり、水道料金の急激な上昇に繋がります。また、トイレの使用自体にも支障をきたすため、専門の修理業者に依頼するようにしてください。
水の勢いが極端に弱くなる
フラッシュバルブ式トイレの特徴である強力な水流が弱くなる症状は、バキュームブレーカー内部の目詰まりや劣化が原因として考えられます。水の勢いが弱くなると、十分な洗浄力が得られず、衛生面での問題が発生する可能性があります。また、水の勢いが弱くなることで複数回の洗浄が必要になり、かえって水の使用量が増えてしまうこともあります。定期的な点検を行い、異常が見られた場合は早めの部品交換を検討することが重要です。
トイレ使用時に異常な音が発生する
バキュームブレーカーの不具合により、金属音や振動音、シューという空気の漏れる音が発生することがあります。これらの異音は、内部の部品が正常に機能していないサインです。特に気をつけるべきは、水を流す際のキーンという金属音で、これはバキュームブレーカー内部の部品が劣化して固着している可能性を示しています。また、常時シューという音が聞こえる場合は、内部のパッキンが劣化して空気が漏れている状態の可能性があるため、状況を確認した上で部品を交換するなどの対応をしてください。
トイレのバキュームブレーカーから水漏れする原因
部品の劣化
バキュームブレーカーの水漏れで最も多い原因が、内部パーツの経年劣化です。特にゴム製のパッキンやシール部分は、時間の経過とともに硬化や亀裂が発生しやすく、その結果として水漏れを引き起こします。また、頻繁な使用や水質の影響により、金属部分に腐食や摩耗が生じることもあります。このような劣化は徐々に進行するため、定期的な点検を行わないと気づかないうちに症状が悪化してしまいます。部品の寿命は使用環境によって異なりますが、一般的に5年から7年程度で劣化が目立ち始めることが多いとされています。
取り付け位置のずれによる不具合
バキュームブレーカーの設置時の位置ずれや、経年による接続部分のゆるみも水漏れの大きな原因となります。正しい位置に取り付けられていないと、内部の部品に余分な負荷がかかり、パッキンの劣化を早める原因となります。また、建物の振動や温度変化による膨張収縮の影響で、徐々に取り付け位置がずれていくこともあります。このような場合、接続部分の増し締めや位置の再調整が必要になりますが、自力による作業は逆効果になる可能性もあるため、専門の修理業者による点検と調整がおすすめです。
水圧バランスの不適切な調整
トイレの給水圧が適正値を超えて高すぎたり、逆に低すぎたりする場合も、バキュームブレーカーからの水漏れの原因となります。特に水圧が高すぎる場合は、内部のパッキンや弁に過度の負荷がかかり、急激な劣化や破損を引き起こす可能性があります。また、水圧が低すぎる場合は、バキュームブレーカーが正常に機能せず、逆流や水漏れの原因となることがあり、適切な減圧弁の設置や水圧の再調整が必要になります。
トイレのバキュームブレーカーから水漏れした際の対処法
止水栓を閉める
水漏れを発見したら、まず応急処置として止水栓を閉めましょう。止水栓は通常、トイレ横の壁面や床面に設置されています。ただし、急に完全に閉めてしまうと、水圧の急激な変化で配管に負担がかかる可能性があるため、徐々に閉めていくことが重要です。また、止水栓が古くなっていると、操作時に破損するリスクもあるため、無理な力をかけずに慎重に行う必要があります。さらに、マンションなどの集合住宅の場合は、他の部屋の水道にも影響が出る可能性があるため、管理会社に連絡してから作業を行うようにしてください。
水漏れ箇所の詳細な確認手順
バキュームブレーカーからの水漏れを発見したら、具体的な漏水箇所を特定することが大切です。点検の際は、以下の手順で確認を行ってください。
- 1,乾いた布で各接続部分をよく拭き取る
- 2,目視で亀裂や腐食の有無を確認する
- 3,各接続部分を軽く触って水気の有無を確認する
- 4,漏水量や漏水の頻度をメモしておく
自分で修理すべきか業者に依頼すべきかの判断
水漏れの状況を確認したら、修理を自分で行うか専門業者に依頼するかの判断が必要です。軽微な水漏れで、パッキンの増し締めだけで対応できそうな場合は、自力で対応してもいいでしょう。しかし、一時的に水漏れが止まったように見えても、根本的な原因が解決されていない可能性があり、再び問題が発生する可能性が高いため、専門の修理業者に依頼して確認してもらうようにしてください。
水漏れが解決できない場合は専門業者に相談しよう
バキュームブレーカーの水漏れは、適切な知識と経験を持った専門の修理業者による対応が必要な場合が多くあります。特に設置から年数が経過している場合や、複数の箇所から水漏れが発生している場合は、自力で修理しないようにしてください。
専門業者に依頼することで、問題をしっかりと解決してもらえる上、トイレ全体の状態もチェックしてもらえるため、メリットが多いです。信頼できる業者を選ぶ際は、実績や評判、アフターサービスの内容なども含めて総合的に判断することが重要です。
まとめ
トイレのバキュームブレーカーは、日常生活に欠かせない重要な部品です。水漏れなどの問題が発生した場合は、まず応急処置として止水を行い、状況に応じて適切な対応を取ることが大切です。特に定期的な点検と予防的なメンテナンスを心がけることで、大きなトラブルを未然に防げます。
また、修理が必要な場合は、安全面を考慮して専門業者に依頼するのがおすすめです。適切な管理と迅速な対応をしてもらって、快適にトイレを使える状態にしてください。