トイレは毎日使う大切な設備であり、その中でもフロートバルブは特に重要な部品です。
フロートバルブは、トイレタンク内の水量を適切に保つための機能を持っており、水を補給するタイミングや量を制御しています。この部品が正常に機能しないと、水が止まらない、または逆に水が出ないといった深刻なトラブルにつながる可能性があります。
本記事ではフロートバルブの役割や寿命、交換する方法などを解説するので、トイレのフロートバルブが原因でトラブルが発生している。
目次
- 1 トイレのフロートバルブとは
- 2 フロートバルブの故障によって起こるトイレトラブル
- 3 フロートバルブの寿命と交換するタイミング
- 4 フロートバルブの故障・不具合を確認する方法
- 5 フロートバルブを自分で交換する方法
- 6 フロートバルブを交換した後にタンクの水位を調節するやり方
- 7 まとめ
トイレのフロートバルブとは
フロートバルブは、トイレタンク内の水量を一定に保つための重要な装置です。浮き玉(フロート)が水面の上下に合わせて動き、給水バルブの開閉を自動的に行います。
水を流した後にタンクの水位が下がると、フロートバルブが開いて新しい水を補給します。そして、水位が適切なレベルまで上がると、フロートバルブが閉まって給水を停止します。この仕組みにより、トイレを使用するたびに適量の水が供給され、スムーズな排水が可能となります。
フロートバルブの故障によって起こるトイレトラブル
トイレの水が止まらなくなる
フロートバルブが故障すると、最も多く発生するのが水が止まらなくなる症状です。これは、フロートバルブの閉じる機能が正常に働かなくなることで起こります。給水バルブが完全に閉まらず、少しずつ水が漏れ続けることで、オーバーフロー管から余分な水が排水され続けます。この状態が続くと、水道代が大幅に上昇する原因となるため、早めの対処が必要です。
トイレの水が流れなくなる
フロートバルブの開く機能に不具合が生じると、トイレタンクに十分な水が溜まらなくなります。水位が低いままでトイレを流すと、便器内の汚物を流すための水圧が不足し、十分な洗浄ができなくなります。また、フロートバルブと連動している給水管に詰まりや破損がある場合も、同様の症状が現れることがあります。
フロートバルブの寿命と交換するタイミング
8~10年程度が目安
フロートバルブは、一般的な使用状況下で8~10年程度が交換の目安となります。ただし、使用頻度や水質、メンテナンス状況によって寿命は大きく変わってきます。毎日頻繁に使用する場合は、5年程度で劣化が進むこともあります。定期的な点検を行い、異音や水漏れなどの異常が見られた場合は、寿命前でも交換を検討する必要があります。
ゴム玉を触ったときに黒い汚れが付くと交換するサイン
フロートバルブのゴム部分を触った際に、黒い粉状の物質が付着する場合は、ゴムの劣化が進んでいるサインです。これは、水質や経年劣化によってゴムが変質している状態を示しています。このような状態では、十分な密閉性が保てず、水漏れの原因となります。また、ゴムが硬化して弾力性を失っている場合も、早めの交換が推奨されます。
フロートバルブの故障・不具合を確認する方法
トイレの止水栓を閉める
まず最初に行うべき作業は止水栓を閉めることです。止水栓は通常、トイレタンクの下部に設置されており、時計回りに回すことで水を止めることができます。完全に閉まっているか確認するため、レバーを引いて水が出なくなることを確認してください。
タンクのふたを持ち上げて内部を確認する
タンクのふたは重いため、慎重に持ち上げる必要があります。持ち上げた後は、安全な場所に置いてください。内部を確認する際は、水垢の付着状況やパーツの劣化具合をよく観察します。特に、フロートバルブの動きがスムーズかどうかに注目してください。
レバーを引いてタンク内の水を抜く
タンク内の水を抜くことで、各部品の状態をより詳しく確認することができます。レバーを引いて水を流し、タンク内の水位が下がっていく様子を観察します。この際、排水の勢いや速度が通常と比べて遅くないかどうかも確認しましょう。
フロートバルブの鎖に不具合がないか確認する
鎖の状態は水の流れに直接影響を与えるため、特に注意して確認が必要です。鎖のたるみや張り具合、錆びの有無をチェックします。適切な長さと張り具合が保たれていないと、正常な水流を妨げる原因となります。
鎖が長すぎる・短すぎるときの直し方
鎖の長さに問題がある場合は、以下の手順で調整します。
- 1、鎖のフックを外す
- 2、適切な長さになるように調整する
- 3、余分な鎖は切断するか、まとめて固定する
- 4、再度フックを取り付ける
- 5、動作確認を行う
鎖が切れていたり外れていたときの直し方
鎖が切れている場合は、新しい鎖への交換が必要です。外れている場合は、以下の手順で修復します。
- 1、鎖の両端を確認する
- 2、レバーとフロートバルブの接続部分を確認する
- 3、鎖を正しい位置に取り付ける
- 4、しっかりと固定されているか確認する
- 5、実際に水を流して動作確認を行う
排水口から外れていないかを確認する
排水口とフロートバルブの接続部分に緩みや外れがないかを確認します。接続部分に隙間があると、水漏れの原因となるため、しっかりと固定されているか入念にチェックしてください。また、パッキンの劣化も要チェックポイントです。
フロートバルブを自分で交換する方法
1、新しいフロートバルブを用意する
交換作業を始める前に、現在使用しているフロートバルブと同じ規格の製品を購入します。メーカーや型番を確認し、適合する製品を選びましょう。
フロートバルブを購入できる場所と選び方
フロートバルブは、ホームセンターや住宅設備専門店で購入できます。選ぶ際は、トイレのメーカーと型番を確認し、適合する製品を選択することが重要です。
2、トイレの止水栓を回して閉める
作業を始める前に、必ず止水栓を時計回りに回して水を止めます。水が完全に止まっていることを確認してから次の作業に進みましょう。
3、レバーを回してタンク内の水を流しきる
タンク内に残っている水を完全に排出します。レバーを数回操作して、水が完全になくなるまで繰り返し行います。
4、落とさないように気を付けながらタンクのふたを開ける
タンクのふたは重いため、慎重に持ち上げ、安全な場所に置きます。落下による破損や怪我に注意が必要です。
5、レバーとフロートバルブをつないでいるチェーンを外す
チェーンの接続部分を確認し、慎重に外します。この時、チェーンの長さや取り付け位置をメモしておくと、後の作業がスムーズです。
6、外したチェーンをタンクの底に落としておく
外したチェーンは、紛失を防ぐためにタンクの底に置いておきます。この時、他の部品に絡まないように注意してください。
7、オーバーフロー管からフロートバルブを取り外す
古いフロートバルブを慎重に取り外します。固着している場合は、無理な力を加えず、徐々に緩めていきます。
8、新しいフロートバルブをオーバーフロー管に取り付ける
新しいフロートバルブを取り付けます。しっかりと固定され、ガタつきがないことを確認してください。
9、トイレのレバーにチェーンをかけてフロートバルブとつなぐ
先ほど外したチェーンを新しいフロートバルブに接続します。チェーンの長さが適切か確認しながら取り付けを行います。
10、設置が完了したらタンクのふたを閉める
すべての部品の取り付けが完了したら、タンクのふたを慎重に元の位置に戻します。
11、最後に止水栓を回して開ける
止水栓を反時計回りに回して水を供給します。この時、水漏れがないか注意深く確認します。
フロートバルブを交換した後にタンクの水位を調節するやり方
水位調整リングで水位を変更する方法
フロートバルブの交換後は、適切な水位に調整することが重要です。水位調整リングは、フロートバルブの上部に取り付けられており、これを上下に動かすことで水位を調節できます。
適切な水位は、オーバーフロー管の上端から約2~3センチメートル下が目安です。水位が高すぎると無駄な水を消費し、低すぎると十分な水圧が得られません。調整後は必ず実際に水を流して、水位が適切か確認してください。
フロートバルブの交換をトイレ修理業者に依頼したときの料金相場
フロートバルブの交換を業者に依頼する場合、一般的な料金相場は作業費と部品代を合わせて10,000円から15,000円程度です。
ただし、地域や業者によって料金は異なります。緊急対応や時間外の依頼の場合は割増料金が発生することもあります。複数の業者から見積もりを取ることで、適正な価格で修理を依頼することができます。また、保証内容や作業時間についても事前に確認しておくのがおすすめです。
まとめ
トイレのフロートバルブは、適切な水量を維持するための重要な部品です。8~10年程度で交換が必要となりますが、使用状況によってはそれより早く劣化することもあります。
不具合が発生した場合は、本記事で紹介した方法で自己診断や交換を行うことができます。ただし、自己修理に不安がある場合は、専門業者への依頼するのがおすすめです。定期的なメンテナンスと適切な交換時期の見極めがトイレを長く快適に使用するポイントとなります。
水道代の節約や故障の予防のためにも、フロートバルブの状態には日頃から確認するようにしてください。