なぜ、トイレの水は逆流してしまうのでしょうか?
逆流とはいざ起こってしまうと混乱するばかりで、すぐさま対処することは不可能に思えます。逆流とは、トイレを普通に使っている上では予測もできない不快な状況です。
この記事では、生活の必須でもあるトイレの大きなトラブルである「水の逆流」について、原因や対処方法について詳しく解説します。
逆流と一言で言っても、原因はさまざま。各管の不具合から、激しい雨による下水道の逆流まで、事前に把握することは難しいものばかりです。
対処法も、簡単な自己対策から専門家が必要となる内容まで幅広くなります。そこで、こうした状況ごとの対処法も紹介していきます。
ぜひ、トイレの逆流が起こった際にも、自信を持って安全に対処できるようになってください。
トイレで便器の中の水が逆流する原因
主な、トイレの中の水が逆流する原因として挙げられることは、以下になります。
- 便器におけるつまり
- 排水管におけるつまり
- 汚水マスにおけるつまり
- 大雨の影響
以下からは、こうした原因について、詳細に解説していきます。
便器におけるつまり
トイレで、便器本体がつまると、水の逆流につながるのです。
便器や、各排水機構がつまる原因は主に以下の二つです。
- 水に溶けるもの(汚物・トイレットペーパーなど)
- スマホ・おもちゃなど水に溶けないもの
以下からは、二つの原因それぞれについて、詳しく解説します。
水に溶けるもの(汚物・トイレットペーパーなど)
トイレに一度に大量のトイレットペーパーや排泄物を流すと、便器の奥がつまってしまい、排水がスムーズに行われない原因となってしまうのです。
本来、こうした物質は水に溶けやすいため、時間をかければ直ることもあります。ただしトイレ内、便器のより奥でつまった場合は、別途で対応しなければならないこともあるのです。
一方で、ウェットティッシュやおしりふきなどは、同じ紙製品であっても水に溶けにくい特性を持っています。ウェットティッシュやおしりふきが原因で起こるつまりは自然に解消されにくく、専門的な対処が求められる場合が多いです。
詳しい対処法については以下のリンクを参照してください。
スマホ・おもちゃなど水に溶けないもの
スマホやおもちゃ、文房具などの水に溶けない物品がトイレに落ちるなどして、便器の奥につまると、すでにある水溶性のもの、トイレットペーパーなど他の廃棄物に引っかかります。すると、いずれ大きなつまりを引き起こし、最終的には水の逆流をもたらすことがあるのです。
こうしたつまりは、水に溶けるものとは異なり、時間が経過しても自然に解消されることはありません。専門的な対処が必要となりがちであるため、こうした事態を避けるためには、トイレに不適切な物を流さないよう注意が必要です。
トイレにスマホやおもちゃ、文房具などの水に溶けない物を、その気がなくても流してしまうことは危険な行為です。
さらに詳しい情報は以下のリンクからご覧いただけます。
また、もしスマホを流してしまって壊してしまった場合は、処分する必要があります。
以下のサイトでは、壊れてしまって電源の入らないスマホでも買い取ってくれる業者をまとめているので、買い取り業者を選ぶ際の参考にしてください。
※外部サイトに遷移します
排水管におけるつまり
トイレにおいて排水管がつまったら、便器のつまりと同様に、水溶性の紙などを大量に流した場合や、携帯電話、おもちゃ、文房具などの水に溶けない物体が誤って流されることが原因となります。
こうした物体が便器の出口付近や各排水機構の中でつまって、水の逆流や他のトイレ不具合の原因となるのです。
また、節水型トイレが原因で排水量が不十分でも、排水管がつまってしまいやすくなります。この理由は、水の流れが弱いために汚物が完全に排出されずに、配管内にとどまってしまうからです。
さらに、日常的なトイレの使用で「小」の流しモードのみ使うことや、トイレのタンク内にペットボトルを設置するなどして水量を調整してしまう行為も、排水管をつまらせる原因となり得ます。
汚水マスにおけるつまり
戸建て住宅においては、屋外の汚水マスが排水を管理する上で重要な役割となります。
汚水マスのつまりは、多くの場合、これまで見てきたような通常の家庭での水道使いの結果起こるものです。ところが、雨水の侵入が原因で土砂やゴミが流入し、つまらせてしまうこともあります。
特に激しい雨が降った後や、台風などの大雨の際には、こうしたつまりが発生しやすくなるのです。
大雨の影響
台風や集中豪雨の際に、大雨の影響でトイレの水が逆流することがあります。
大雨による逆流は、地域の下水道が大量の雨水を一時的に処理できず、既にある水が排水路を逆に進んでしまうことにより発生します。
特に低地や、下水管のキャパシティが小さい地域で大雨の影響が見られることが多く、家庭内で便器や排水口から水が逆流し、床上浸水の原因となるのです。
詳細については以下の記事からご確認ください。
便器・排水管に水に溶けるものがつまった時の対処法
便器や排水管といった場所で水溶性のものがつまった場合、以下の対処法があります。
- 水・お湯を流す
- クエン酸・重曹を使う
- ラバーカップを使う
- 真空式パイプクリーナーを使う
- ワイヤーブラシを使う
ここからは、こうした便器・排水管に「水に溶けるもの」がつまったらどう対処すべきかを詳しく解説します。
水・お湯を流す
便器や排水管に水に溶ける物質がつまった際の対処法は、水やお湯を使うことです。特に水溶性の紙、トイレットペーパーなどが集まって起こるような軽度のつまりに効果的があります。
お湯を使ったつまり対処の手順は、以下の通りです。
- 適温のお湯を用意する: 約50℃のお湯を用意します。50℃はトイレットペーパーが溶けやすい温度であり、便器を傷つけるリスクも減らします。
- お湯をゆっくりと流す:お湯を便器にゆっくりと注ぎ入れます。急激に熱湯を注ぐと、セラミック製の便器が破損する恐れがありますので、流す速度には注意してください。
- 様子を見る:お湯を流した後、水の流れが改善されているかを確認します。数分待ってから、通常の洗浄を行い、つまりが解消されているかをチェックします。
同時に、お湯を使ったつまり対処における注意点は以下の通りです。
- 熱湯の使用は避ける:非常に熱い湯(沸騰直後など)は便器の材質によっては損傷の原因となる可能性があるため、使うのをやめましょう。
- 再発防止:今後のつまりを防ぐため、トイレでは一度に大量の紙を使わないようにしたり、他の異物を誤って流さないよう注意しましょう。
詳しい情報とその他の対処法については、以下の記事でさらに解説しています。
クエン酸・重曹を使う
クエン酸(お酢)と重曹を使うと泡が発生し、便器や排水管につまった水に溶ける物質(特にトイレットペーパーや有機物の小片)を分解するのに効果的です。
本対処方法は、環境に優しく、また家庭によくある材料で行えるため、手軽に試せる対処法です。クエン酸はお酢で代用できます。
クエン酸・重曹を使ったつまり対処法の手順は、以下の通りです。
- 材料の準備:クエン酸をカップ1/4、重曹を100ml(カップ1/2)用意します。
- 混ぜる:重曹を便器に直接振り入れ、その上からクエン酸を振り入れましょう。
- 反応を待つ:材料が便器内で反応し、泡が発生します。この泡が「つまり」と反応して分解を助けます。
- お湯で流す:反応後、熱くないお湯(約40-50℃、便器容量の半分程度の量)を高い位置からゆっくりと便器に注ぎます。熱すぎる水は便器を傷つける可能性があるため避けましょう。
- 効果の確認:お湯を流した後、通常の洗浄をして効果を確認します。
同時に、お湯を使クエン酸と重曹を使ったつまり対処においては、以下の点に注意しましょう。
- 量の調整:使用する重曹とクエン酸の量はつまりの程度によって調整が必要です。重いと思われるつまりの場合は、量を増やすか、作業を数回繰り返すことが効果的です。
- 安全対策:クエン酸と重曹の反応は無害ですが、目に入らないよう注意し、ゴム手袋を着用してください。
詳しくは以下の記事で更に深掘りしていますので、ぜひ参照してください。
ラバーカップを使う
ラバーカップは、便器内に圧力差をもたらすことで真空状態を作り出し、つまりを物理的に解消します。ラバーカップの選び方や使い方は以下の通りです。
ラバーカップの種類と選び方
ラバーカップには洋式トイレ用と和式用があるため、自分のトイレに合う商品を使いましょう。
- 洋式トイレ用:広いゴム部分が特徴。便器の出口を完全に覆うことができるため、効果的な密閉状態を作り出します。
- 和式トイレ用:形状が洋式用と異なり、細長いデザインが多いです。和式トイレの狭い排水口に適しています。
ラバーカップの正しい使用方法
- ラバーカップを正しい位置にあてる:ラバーカップのゴム部分をトイレの排水口にしっかりと押し付けましょう。ラバーカップ内に水を含ませておくことで、空気の逃げ場を無くし、圧力を高められます。
- 押し引きをする:ゴム部分をゆっくりと押し下げ、急激に引き上げます。この押し引きを数回繰り返すことで、排水口のつまりを物理的に取り除きます。
- 結果を確かめる:ラバーカップの使用後、「小」で洗浄をして水の流れを確認します。改善されていない場合は、本手順を数回繰り返してください。
真空式パイプクリーナーを使う
真空式パイプクリーナーは、ラバーカップなどよりも各排水機構、便器のつまりをなくすために利用価値が高い道具です。真空式パイプクリーナーは、各所につまった水溶性の物質などを取り除くために使われます。
真空式パイプクリーナーの操作方法は以下の通りです。
- 装置のノズルをつまった排水口にしっかりとセットします。
- ハンドルを数回引くことで、管内に真空状態を作り出し、つまりを吸引します。
- 必要に応じて、この操作を繰り返し行い、つまりを完全に除去します。
真空式パイプクリーナーを使った方法は、大便や大量のトイレットペーパーによる重度のつまりに対しても効果を発揮します。ただし、使用前には、便器や管が損傷しないよう、説明書などの指示に従って正しく操作してください。
ワイヤーブラシを使う
ワイヤーブラシは、水溶性のつまり物質などを物理的にかき回して溶かす道具です。ワイヤーブラシは、特に排水管内の堅いつまりに対して効果的です。
ワイヤーブラシは、以下の手順で使ってください。
- ワイヤーブラシを、つまりが存在する排水管に挿入します。
- ゆっくりとブラシを前後に動かし、つまりの原因となっている物質をかき混ぜます。
- 適切な圧力を加えてブラシを回転させ、つまりを解消。
使う時は、便器や配管を傷つけないよう注意が必要です。また、ブラシ部分が長すぎるワイヤーブラシはつまりを悪化させてしまうことがあるので使わず、ブラシ部分が5cm程度のものを使ってみてください。
また、ワイヤーブラシはおもちゃやスマートフォンのような固形物のつまりには対応できません。
固形物が便器や排水管につまった時の対処法
固形物のつまりは対処方法が異なります。便器や排水管に固形物がつまってしまうと、上記の方法では解消しにくいものです。トイレの水を抜いたり、物理的に届く範囲の固形物であれば自分で回収するといった方法が必要となります。
便器・排水管に固形物がつまった時の対処法は、以下の手順で行ってください。
- 水位を調整する:まず、便器内の水を作業ができる量まで減らすか、完全に抜き取ります。
- ゴム手袋などを身につける:衛生面の対策として、ゴム手袋など水をシャットアウトできるものを身につけます。
- 物理的に固形物を取り除く:手や割り箸、ピンセットのように長い物を使い、目視で確認できる固形物を慎重に取り除きます。
上記の手順では、ハンガーを変形させて利用するのはやめましょう。ハンガーを使ってはならない理由は、針金であるハンガーが便器を傷つけ二次被害となってしまったり、つまりの物体を押し込んでしまう可能性があるためです。
また、つまったものが固形物のときは、ラバーカップを持ち出すこともやめましょう。こちらについては、さらに下記の「注意点全般の項目」で詳しく解説します。
汚水マスにおけるつまり対処法
汚水マスのつまりをなくす方法は、以下の通りです。
- 汚水マスの確認:屋外にある汚水マスを、家に近い順から開けて、つまりの場所を特定。
- 原因を探る:汚水マスには、トイレからの水溶性物質などを含んだ汚水、風呂やキッチンからの排水が流れ込みます。キッチンの排水からは油脂などが付着しやすく、これがトイレットペーパーなどを巻き込みつまりの原因になりやすいのです。さらには、野外の雑草や木の根、土砂などが流されて、汚水マスをつまらせることもあるのです。
- 清掃:つまりの原因、その物質を確認できたら、適切な道具を用いて汚水マス内の清掃を行います。固形物や油脂の除去には液体洗剤など、ホームセンターで販売されているような専門の清掃道具が効果的です。ゴム手袋の装着など衛生管理も忘れずに。
- 洗浄のテスト:清掃後、水を流しましょう。流れが改善されていない場合は、さらに詳細な調査が必要になることがあります。
このように、つまりの場所・原因を特定できれば、掃除をすることで汚水マスのつまりは解消されます。
大雨の影響で逆流するときの対処法
大雨による下水の逆流が起こった場合、自力ですぐに解決することはできません。まずは雨水が引くのを待つことが基本となります。
大雨により下水管の容量が限界となることがあります。すると水が逆流してトイレに水があふれてしまうのです。こうした場合は、水のうなどで便器の入り口を塞ぐ方法が効果的。水のうとは水で満たされた袋で、重しの効果があります。洪水時に、水の流れをコントロールするためなどに使われます。
水のうを使った方法は、便器を通した家屋への水の侵入を防ぎ、より大きな被害となることを避けるために役立ちます。しかし、水位が高いときは役に立たないことも。
トイレで実際に水が逆流してしまったときの注意点
トイレの水が逆流する場合、以下の点に注意してください。
- つまりを放置しない
- 固形物がつまっている場合にラバーカップを利用しない
- つまっている状態が解消しないときに無理をしない
以下からは、このような実際の逆流時における注意点それぞれについて、一つずつ詳しく解説していきます。
つまりを放置しない
トイレの逆流は、トイレットペーパーやティッシュ、紙おむつなど、水に溶ける素材が原因の場合が多いです。水溶性であるため、時間が経つとつまりがなくなり、逆流しなくなることもあります。
ただし、原因が水溶性の物質であるなどと特定されていない場合につまりを放置すると、大きな逆流や他の配管の損傷を伴うような、さらなる問題を引き起こすリスクがあるのです。
また、排水管や便器内に汚れが蓄積しているケースもあり、汚れが原因で逆流となることもあります。逆流が起きたら、可能な限り早く原因を特定し、適切な対策をしなければなりません。
固形物がつまっている場合にラバーカップを利用しない
ラバーカップを、固形物のつまり対処に使ってはいけません。
特にスマホやおもちゃといった固体の異物が原因である時、ラバーカップでは、固形物を排水管のさらに奥へと押し込んでしまい、状況を悪くさせる可能性が高くなります。
こうした場合は、物理的に取り除くしかありません。素人の対処ではリスクが伴うため、慎重に行う必要があります。
つまっている状態が解消しないときに無理をしない
これまで紹介したような方法をとってもトイレの水の逆流が解消しない場合、無理に直そうとするのは避けましょう。
逆流の原因がはっきりしていない場合、自分で対処しようとすると、問題を悪化させる可能性があります。特に、便器や排水管に不適切な力を加えると、便器に傷をつけることがあり、傷がさらなる故障や漏れを引き起こす原因となり得ます。
こうした状況では、下記のように専門の水道業者に相談することが最も安全で効果的な対応策です。
それでも水の逆流が解消しないのであればトイレ修理業者に相談しよう
これまで紹介した方法でもトイレの逆流が解消されない場合、トイレ修理業者への相談・依頼がおすすめです。
特につまりの原因が固形物であるなら、自力で無理やり解消しようとすると、トイレや排水管に損傷を与えてしまう可能性もあるのです。
プロに頼めば安全かつ効率的に問題を解決できます。業者に依頼すると、適切な診断と修理が行われるため、迅速にトイレを通常の状態に戻すことができます。
まとめ
この記事では、トイレの水が逆流する問題について、原因と対処法を深掘りして解説しました。トイレの逆流は、便器だけでなく各排水機構のつまり、大雨による下水道の逆流が主な原因です。こうした問題が起きたら、適切な対応を速やかに行うことが重要です。
まず、便器や排水管がつまっている場合、簡単な自己対処としては、水やお湯を流すことや、ラバーカップを使用してみる方法があります。ただし、固形物が原因のつまりや、自己対処が困難な場合は、ラバーカップの利用が厳禁となることも。逆流対処は、無理をせずにトイレ専門の修理業者などプロへの相談をおすすめします。プロの手により、さらなる損傷を防ぎ、迅速に問題を解決できるのです。
また、大雨が原因で下水道からの逆流が発生する場合、予防策として水のうを便器に設置するなど逆流防止用具の設置が効果的。定期的な排水管のメンテナンスも、逆流を未然に防ぐために重要です。
ぜひこの記事を通じて、トイレの逆流の原因と対処法を理解し、万一の事態に備えてください。トイレの問題は突然に起こり得るため、日頃から適切な使用と点検を心掛けることが、快適な生活を維持する鍵となります。