「トイレの便器から水が漏れる」というトラブルは、家庭でよく起こります。もし水漏れに気づいたら、どうすればいいのでしょうか?
水漏れの原因はさまざまで、自分で直せるものもあれば、プロの手を借りなければならないものもあります。
この記事では、トイレの水漏れに対する効果的な対処法から、自分で修理できるケース、修理が難しい場合の業者の選び方までを詳しく解説します。水漏れを発見したら慌てず、まずはこの記事を参考に対処方法を確認してみましょう。
目次
トイレの便器から水漏れしたときの応急処置
トイレの便器が水漏れしていることに気づいたら、慌てずに以下の応急処置をしましょう。
- 止水栓を締める
- ウォシュレットのコンセントを抜く
水漏れを放っておくと、いずれ大量の水が溢れ出してトレイが水浸しになってしまうこともあります。そこでまずは応急処置が必要となるのです。
以下からは、そうしたトイレの水漏れにおける応急処置の方法を2つ挙げ、詳しく解説します。
止水栓を締める
トイレで水漏れが発生した場合、最初に行うべきは止水栓を締めることです。止水栓を締めることで、水が流れ続けることを防ぎ、被害を最小限に抑えるのに役立ちます。
止水栓の位置は決まっておらず、トイレによって異なります。壁に設置されている場合もあれば、床に取り付けられている場合もあります。
締めるときは、状態に応じて以下の方法を選んでください。
- ハンドルがなく直線の溝がある止水栓: マイナスドライバーを使い、時計回りに回して閉めます。
- ハンドルタイプの止水栓: ドライバーは不要で、手でハンドルを時計回りに回して給水管からの水の供給を止めます。
こうすることで便器への水の供給が止まり、修理作業員や専門業者を待つ間、状況を一時的に安定させることができます。止水栓の位置や操作方法に不安がある場合は、事前に確認しておくとよいでしょう。
ウォシュレットのコンセントを抜く
トイレの水漏れが発生したとき、特にウォシュレットを使用している場合は、安全を確保するためにコンセントを抜きましょう。水漏れによりコンセントが濡れると、感電の危険性があるからです。
修理作業中は水はねが起こりやすいため、より注意が必要です。すでに水が便器から溢れて床や壁を濡らしている場合は、人が少し動くだけで水はねが起きてしまいます。
コンセントを抜くことで、安全を確保しながら、適切な対策が行えます。万が一のためにも、日頃からコンセントが抜きやすいよう配置を工夫しておくと良いでしょう。
トイレの便器から水漏れする5つの原因
トイレの便器が水漏れしてしまう理由として、以下の5つが挙げられます。
- タンク内の部品の故障
- ウォシュレットの不具合
- 便器本体の破損
- 給水管の接続部の劣化
- 便器と床の隙間からの水漏れ
以下からは、こうした水漏れの原因について詳しく解説します。
タンク内の部品の故障
トイレのタンク内には、便器に水を流すための複数の部品があります。
主要な部品とその役割は、以下のとおりです。
- ボールタップ:タンク内の水位をコントロールする
- 浮き球:ボールタップと連動して、水位に応じて浮かび上がり、ボールタップとともに水の流れをコントロールする
- フロートバルブ:給水管とタンクを繋ぐ部品で、水位に応じて給水を開始または停止させる
- 水栓レバー:手動で水の流れを制御し、トイレを洗浄する
- オーバーフロー管:タンク内の水位が高すぎる場合に余分な水を排出し、水のあふれを防ぐ
こうした部品は日常使いで摩耗したり、故障したりすることがあります。
たとえば、フロートバルブがきちんと閉じない場合、タンク内に水が溢れ、結果として水漏れを引き起こすことがあります。また、オーバーフロー管が詰まっていると、水が適切に排出されず、漏水の原因になることがあるので注意が必要です。
こうした部品の故障は、水道料金の無駄遣いだけでなく、トイレ周りの水害にもつながるため、早めに対処しましょう。
ウォシュレットの不具合
ウォシュレットの水漏れは、ノズルの止水弁、タンク、配管の破損や、内部の電気系統の故障が原因で起こることがあります。
ウォシュレットは複雑な電気製品であるため、水漏れの原因として特定が難しいことも。
たとえば、止水弁が正しく動かない場合、連続して微量の水漏れが発生することがあります。また、リモコンの電池が切れていると、予期せぬ水漏れや動作不良を引き起こすことがあるため、定期的なメンテナンスが重要になってくるのです。
便器本体の破損
トイレの便器は主に陶器でできており、強い衝撃によってひび割れや欠けが起きることがあります。こうした破損は、水が便器の外へ漏れ出す原因となり得るので注意しましょう。
また、冬場や梅雨時には便器が結露することがありますが、これは便器の故障ではなく、単に水滴が垂れ落ちているだけであり、気温や湿度による自然現象です。
給水管の接続部の劣化
給水管とトイレの接続部では、パッキンの劣化が水漏れの一般的な原因となります。パッキンは時間が経つにつれて硬化または破損し、その結果、水漏れを引き起こすことがあります。
また、接続部のナットも使用期間が経つにつれ緩むこともあり、これが水漏れのもう一つの原因です。
さらに給水管自体が経年劣化により損傷し、水漏れを起こすこともあります。
便器と床の隙間からの水漏れ
便器と床の隙間からの水漏れの場合は、便器内の排水配管から水が漏れている可能性が高いです。
排水管が床に接続されている場合、水漏れを解決するためには便器を床から取り外す必要があるので、業者に相談しましょう。
トイレの便器からの水漏れを自分で修理する方法
トイレの水漏れを、自分で修理する方法は以下のとおりです。
- タンク内の部品を交換する
- ウォシュレットのノズルを交換する
- 給水管の接続部のパッキンを交換する
- 便器のひび割れの応急処置をする
以下からは、それぞれの水漏れを自分で修理する方法について、詳しく解説します。
タンク内の部品を交換する
トイレタンク内には、水の流れをコントロールするための部品が以下のように複数あります。
- ボールタップ
- 浮き球
- フロートバルブ
- 水栓レバー
こうした部品が故障すると、トイレの水が止まらなくなったり、適切な水位を保持できなくなったりすることがあります。
タンク内部を点検し、劣化や損傷が見られる部品があれば、新しいものに交換することで水漏れが解消されることもあります。水漏れの症状に応じて、どの部品の交換が必要なのかを確かめ、交換してください。
部品を交換する際は、まず水の元栓を閉めてタンク内の水を抜き、慎重に作業を行いましょう。
以下からは、各部品を交換すべきかどうかを見極めるための症状点検について解説します。
ボールタップの交換
タンク内の浮き球を持ち上げても水が止まらない場合、ボールタップが故障している可能性があります。
ボールタップは水の出入りをコントロールするため、故障するとトイレの水が絶えず流れ続ける原因となります。ボールタップを交換することで、この水漏れは解決します。
浮き球の交換
タンク内の浮き球に穴が空いて破損してたり、支えとなっている金具が曲がっていると、水位が正しく測れなくなり、水が止まらずにトイレから溢れることがあります。
浮き球は水位を感知してボールタップに信号を送る部品です。浮き球やその支えが損傷していれば、新しい浮き球に交換することで、水位を正常に保つことが可能になります。
フロートバルブの交換
フロートバルブの劣化は、タンクのゴム栓がうまく閉じなくなる原因となります。フロートバルブが正しく動かないと、水が絶えず流れ続けるか、または正しい水位が保てなくなります。
フロートバルブのゴムが劣化すると表面が剥がれおち、触ると手が黒く汚れます。こうした症状が見られた場合は、フロートバルブを交換しましょう。
水栓レバーの交換
水栓レバーは、ユーザーがトイレを流す際に操作する部品で、タンク内の水の出入りをコントロールします。
水栓レバーが空回りするといったように正しく動かない場合、レバーの軸が折れているか、フロートバルブとレバーを結ぶチェーン部分が外れている可能性があります。
レバーの軸が折れている場合は、新しい水栓レバーに交換しましょう。
ウォシュレットのノズルを交換する
ウォシュレットのノズルやその他の部品(給水フィルターや止水弁など)は、使用されている機種によって自分で交換が可能な場合があります。
特にノズルの汚れや破損は水漏れの原因になりうるため、定期的なチェックと必要に応じて交換を行ってください。交換方法は機種によって異なるため、製造元の指示に従って正確に行いましょう。
給水管の接続部のパッキンを交換する
接続部のパッキンの劣化は、給水管を外して交換が可能。ナットのゆるみも同時に修理ができます。
トイレの給水管からの水漏れは、接続部のパッキンが劣化したことによることが多いです。
パッキンは時間が経つと硬くなり、柔軟性がなくなってしまうため、水の漏れを防げなくなります。このような場合、以下の手順でパッキンを新しいものに交換することで解決可能です。
- まず、水の元栓を閉めてから作業を開始。
- 次に、レンチを使って給水管のナットを緩め、古いパッキンを取り出す。
- 新しいパッキンに交換後、ナットをしっかりと締め直し、水を開けて漏れがないか確認。
便器のひび割れの応急処置をする
便器にひびが入った場合、完全に修理するには便器を交換する必要があります。
しかし、費用が高額になりがちであるためすぐに対応できない場合は、応急処置としてひび割れの補修をおすすめします。
修理の際は、市販のパテやコーキング材を使用し、ひび割れ部分を丁寧に埋めます。
こうした補修は一時的な解決策であり、将来的には新しい便器に交換する必要があります。水漏れを防ぐための緊急措置として利用してください。
補修作業を始める前には、便器と周囲をきれいに掃除し、乾燥させてからパテやコーキング材を塗布してください。また、完全に乾燥するまで数時間待つ必要があるため、計画的に作業を行いましょう。
水漏れ後にはアフターケアとしてクリーニングと消臭を
トイレの水漏れには、ただちに対処する必要がありますが、同時にアフターケアも重要です。
以下からは、水漏れ後の衛生環境を維持するためのクリーニングと消臭方法について解説します。
水漏れ後のトイレクリーニング
水漏れが収まった後は、以下の手順でトイレのクリーニングを徹底的に行いましょう。
- 水漏れによって濡れたエリアを清潔な布で拭き取ります。
- 漂白剤や専用のクリーナーを使用して、床や壁、便器の表面を丁寧に拭き取ります。
- 隙間など水が溜まりやすい部分は、細菌やカビの発生源となりやすいため、注意深くクリーニングします。
水漏れ後の消臭
水漏れの影響で、不快なにおいが発生することもあります。こうしたトラブルには、下記の消臭方法で対処しましょう。
【準備するもの】
市販の消臭剤、もしくは重曹や酢
【作業方法】
消臭剤を水漏れしたエリアに塗布し、空気の循環を良くするために窓を開けるなどして換気を行いましょう。こうした作業により、水漏れによる不快な臭いを最小限に抑えることができます。
自力で修理するのが難しいトイレの水漏れ
トイレの便器の水漏れは、すべてが自分で修理可能なわけではありません。特に次のようなケースでは、自力での修理が難しくなります。
- オーバーフロー管の交換
- 便器本体の交換
- 便器と床の隙間からの水漏れ
こうした状況では、自力で修理しようとすると、状況を悪化させる可能性があり、最終的にはより高額な修理費用がかかることになりかねません。
以下からは、自分での修理が難しい水漏れのケースそれぞれについて、詳しく説明していきます。
オーバーフロー管の交換
オーバーフロー管の交換をするときは、トイレのタンクを取り外す必要があります。さらに、専門的な工具を用意し、正しい手順で作業を進める必要があります。
タンクを外し、古いオーバーフロー管を取り外して新しいものに交換する作業は、素人には困難であり、間違った取り扱いがさらなる損傷を引き起こす可能性があるので要注意です。
便器本体の交換
便器自体にひびが入っている場合や、大きな損傷がある場合は、便器全体を交換する必要があります。
便器交換の作業は複雑で時間もかかるため、一般的には専門業者に依頼することが多いです。便器の取り外しと設置は精密な作業であり、正しい工具と技術が必要になります。
また、新しい便器の設置には、ただ便器を床や壁へ固定するだけでなく、水漏れを防ぐための正確なシーリング作業も含まれるため素人には困難です。
便器と床の隙間からの水漏れ
便器と床の隙間から水が漏れている場合、原因は排水管の接続部に問題があるか、便器のシーリングが劣化していることが多いです。
こうしたタイプの水漏れを修理するには、便器を床から取り外す必要があります。しかし、便器の取り外しと再設置は正確な位置決めとシーリングが必要であり、専門的な技術がないと対応できません。
さらに、排水管との正しい接続を確保するためにも、配管の知識が必要になるため、便器と床の隙間からの水漏れを自力で直すことは現実的ではないでしょう。
自力で修理できないときはトイレ修理業者に依頼する
自力でのトイレの水漏れ修理が難しい場合、専門のトイレ修理業者に依頼すると良いでしょう。
プロの技術者は必要な部品を揃え、専門の道具を使って確実に修理してくれます。
大掛かりな作業、たとえば便器の交換など、自分では手に負えない場合は、ためらわずに専門業者に相談しましょう。
一方で、以下のように悪徳な修理業者にだまされないように注意することも忘れないでください。
悪質なトイレ修理業者に注意
トイレ修理業者を選ぶ際には注意が必要です。中には依頼内容以外の不必要な作業を行い、高額な費用を請求してくる悪質な業者も存在します。
悪質な業者に引っかからないために、業者選びの際には以下のポイントをチェックするようにしましょう。
- 水道局指定工事業者から選ぶ
- 料金体系を事前に確認する
- 評判や口コミをチェックする
- 会社の住所や連絡先が明確にされている業者を選ぶ
こうしたポイントを押さえることで、悪質な業者から自分を守ることができます 。
トイレ修理は、正確な診断と適切な対応が必要です。自分で修理できる範囲を超えた場合は、信頼できるプロに依頼しましょう。そして、業者選びは慎重に行い、不安なく修理を任せられる業者を見つけることが重要です。
まとめ
この記事では、トイレ便器からの水漏れの応急処置の方法や、水漏れの原因を理解し、自分で対処可能な場合の具体的な修理方法から、プロに依頼すべき状況の見極め方までを紹介しました。
水漏れの原因は、タンク内部の部品の故障やウォシュレットの不具合、便器本体の破損など多岐にわたりますが、いずれの場合も迅速な対応が重要です。
自力で修理できる場合は、この記事で紹介した手順に従って対処し、自信がない場合や大掛かりな修理が必要な場合は、信頼できる業者に相談しましょう。
また、悪質な修理業者に騙されないよう、事前に業者選びのポイントも押さえておくことが大切です。トイレの水漏れに悩んだときは、ぜひこの記事を参考にしてください。
以下の記事では、トイレの水漏れトラブルに関して、対処方法などの役立つ情報を詳しくまとめていますので、困ったときはぜひ参考にしてみてください。